〈株式投資のキホン〉堅実投資も大切だが…あえて「大化け銘柄」を狙う、楽しくて超シンプルなスキーム【経済評論家が解説】

〈株式投資のキホン〉堅実投資も大切だが…あえて「大化け銘柄」を狙う、楽しくて超シンプルなスキーム【経済評論家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

株式投資デビューする人が増えていますが、多くの方は「着実な長期投資」を目指しているようです。しかし、それだけでは退屈だと感じる人もいるでしょう。そういう人は、少し冒険して「大化け銘柄」を探して買ってみてはどうでしょう? 損するリスクを低減しつつ、株の成長を楽しめる買い方・保有の仕方があるのです。経済評論家の塚崎公義氏解説します。

大化けする銘柄、じつは「少なくない」という現実

株式投資の目的には色々ありますが、「大儲けを狙って〈投機〉をしたい」と考える場合には、「大化けしそうな銘柄」に投資することになります。

 

「そんな銘柄、滅多にないじゃないか…」と思っている人もいるようですが、じつは株価が何十倍にもなった会社は数多くあるのです。

 

米国の株式時価総額上位の銘柄を見ると、アップル、マイクロソフト、グーグル(上場企業名はアルファベット)、アマゾン、フェイスブック(上場企業名はメタ・プラットフォームズ)、テスラ等々の名前が並んでいますが、その多くは創業者がまだ元気です。つまり、過去数十年に上場されたわけですから、上場当時に比べて株価が何十倍、何百倍にもなっているはずですね。

 

ということは、最近上場された株のなかにも、数十年以内に株価が何十倍、何百倍になる銘柄が多数含まれているかもしれないわけです。問題は、どの銘柄なのか知ることが難しい、ということですね(笑)。

 

もっとも「ゼロになる可能性も非常に高いが、何十倍になる可能性もある株」と「大儲けできる可能性は低いけれど、ゼロになる可能性も小さい株」の見分けくらいであれば、それほど難しくないでしょう。

 

技術力があって急成長しているが、このまま成長を続けるか否かは不明だ、という会社は前者ですね。会社が成長していくと、組織運営等が複雑化していき、会社の急成長に人材育成が追いつかないといった問題が出てきたり、経営陣が仲間割れしたりなど、さまざまな問題が出てきますが、それを乗り越えられるか否かは事前にはわからないからです。

 

こうした銘柄を見つけることは、それほど難しくないかもしれません。日経新聞を読んでいるだけでも、たとえば「アマゾンキラーと呼ばれている」などという企業が紹介されていたりします。

 

アマゾンのライバルとして急成長を続けるのか、巨象アマゾンに叩きのめされるのか。それとも、似たような事業を手がける企業が多数設立され、生き残りをかけて戦うのか…。このように、さまざまな可能性があります。

 

倒産する可能性も大きそうですが、少なくとも「アマゾンのシェアを数%奪う可能性はゼロではなさそうだ」といった見当はつくわけです。それなら、その会社は候補のひとつと考えてよいでしょう。

100倍になった銘柄…もし「3倍で売却」していたら上出来!

そのような株を見つけることは難しくないので、読者のなかには過去にそうした株を買った経験がある人がいるかもしれません。しかし、それをいまなお持っている人は稀でしょう。

 

投資初心者は利食い(利益確定売り)が早すぎる、といわれます。株価が2割か3割上がると、売って利益を確定したくなるわけです。それは、人間の脳が眼と同様に錯覚するからなのです。

 

経済学と心理学が融合したような「行動経済学」という学問領域があるのですが、研究によると「人間は儲かった喜びより損した悲しみを大きく感じる」「儲けが2倍になっても嬉しさが2倍になるわけではない」ということが判明しています。

 

つまり、保有する株がさらなる値上がりをしても、喜びはそれほど大きくないのに、値下がりしてしまう悲しみはとても大きいので、「悲しみを味わうリスクを避け、早く利益を確定したい」という気持ちになるのは、自然なことなのです。

 

2~3割上がっただけで売却に踏み切る初心者が多いなか、仮に読者が3倍で売ったなら、悔やむ必要はありません。ほかの初心者よりはるかにうまく対処したのですから、自分で自分をホメてあげましょうね。

宝くじ感覚で投機するなら「半分売って塩漬け」もヨシ

しかし、宝くじ感覚で投機をするなら、違う行動原理が必要です。「100倍になるまで売らない」「今後30年間は売らない」と決めるのです。そうすれば、もし3倍になったあとでゼロになっても、自分で決めたことですから、悔やまずにすみます。もしも本当に100倍になったら、大いに自分で自分をほめ、お祝いしましょう。

 

とはいえ、3倍になっても売却せずに持ち続けるには、強靭な精神力が必要です。もしゼロになったら泣いても泣ききれない…と思う人もいるでしょう。

 

そんなときは「筆者の知人のマネ」をしてはどうでしょうか。筆者の知人いわく「2倍になったら半分売る。そうすれば、元本は回収してあるから、ゼロになったときの悔しさを感じなくてよい。だから、いつまででも持ち続けられる」というのです。

 

たしかに「ゼロになっても構わない」という精神的な安定が得られるなら、株価の動きを楽しめますね。いっそ、その株のことを長期間忘れるといいかもしれません。株券をタイムカプセルに入れ、30年間庭に埋めておくというわけです。

 

似たような考え方ですが、3倍になったら3分の2を売って投資元本の2倍を回収し、売却代金の半分で別のハイテク株を買う、という選択肢もあるかもしれません。宝くじを2枚買うような感覚ですね(笑)。

「売りたい自分」を抑えるために「他人の抑止力」を利用

元本を回収してあるから、損しても大丈夫…というのは確かに安心材料ですが、それでも株価が10倍になったら売ってしまう、という人が多いのではないでしょうか。

 

そんなとき、筆者の好きな考え方である「自分で自分を我慢させることが苦手なら、他人に助けてもらえ」を活用してはいかがでしょうか。

 

「私はアマゾンキラーの株を買った! 2倍になったので、半分売って元本は回収した。残りは100倍になったときに売って、みんなにご馳走するよ」と、周囲の人に言って回るのです。

 

そうすれば、きっと周囲の人たちが「株価は上がってる?」たびたび冷やかしてくるはずです。そうすれば「10倍で売ってしまった」などとはとても恥ずかしくて言えませんから、必然的に「ずっと保有する」ことになるでしょう。

 

余談ですが、ダイエットする場合もあえて「ダイエットします!」と宣言してしまう方法があります。もっとも、ダイエット宣言をした途端「ケーキをご馳走してあげる♪」という人が増える可能性もありますが(笑)。

 

本稿は以上ですが、投資は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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