8月22日~28日「FX投資戦略」のポイント
<ポイント>
・先週は年初来の米ドル高値を更新、146円半ばまで米ドル一段高となった。
・その後、「人民元安阻止策強化」の報道をきっかけに米ドル反落。中国経済への不安を受けた円を含めたアジア通貨売りの買い戻しがあった可能性も。
・米ドル/円は短期的な「上がり過ぎ」拡大の余地はあるものの、循環的には米ドル高・円安限界圏での推移が続いている。今週は142~148円で米ドル高値波乱含みの展開を予想。
先週の振り返り…年初来米ドル高値更新で146円半ばへ
先週の米ドル/円は、年初来の米ドル高値を更新すると、146円半ばまで一段高となりました(図表1参照)。ただ、木曜日に「中国が人民元安阻止の介入を強化する」との報道をきっかけに米ドル/円は反落。水曜日まで米ドル/円は8営業日連続の陽線(米ドル高・円安)となっていたので、その反動が入った可能性があります。
それにしても、なぜ一気に年初来の米ドル高値を更新するところとなったのでしょうか。この米ドル高・円安をある程度説明できそうなのは、日米10年債利回り差米ドル優位の拡大です(図表2参照)。
長期金利の米10年債利回りが、2022年に記録した高値の4.3%へ迫るまで大きく上昇し、日米金利差が拡大したことが米ドル高・円安の一因だったと考えられます。
こうした米長期金利の大幅な上昇の背景には、足元の米景気に対する見方が急ピッチで上方修正されている影響が大きいでしょう。
4~6月期の米GDP成長率は前期比年率で2.4%の上昇でしたが、足元の7~9月期のGDP成長率について、定評のあるGDP予測モデルである「アトランタ連銀GDPナウ」で16日に更新された最新予想値は、なんと5.8%でした(図表3参照)。
特に長期金利の米10年債利回りなどの上昇が、先週にかけて一気に米ドル高・円安が広がったことへ一役買ったともいえそうです。
ただし、そんな米ドル/円は、木曜日から反落に転じました。さすがに、前日まで8営業日連続の米ドル陽線でしたから、一息入れるタイミングだったのかもしれません。とはいえ、米ドル/円が反落に転じるきっかけとなったのは、冒頭で述べたように「人民元安阻止強化」の報道でした。
最近にかけて、中国経済はバブル崩壊後の日本経済と同じように「長期低迷」に向かっている(=「日本化論」)と不安視する見方が多くなっています。上海総合指数などの中国株価も、4月頃から下落傾向が続いてきました。このような中国株の下落傾向と米ドル高・円安は、ある程度連動してきたようにもみえます(図表4参照)。
その意味では、146円まで米ドル高・円安に戻してきた要因として、すでにみてきた米景気の好調を受けた米金利上昇とともに、中国経済への不安が円を含めたアジア通貨売りにつながっていた面もあったかもしれません。
そう考えると、「人民元安阻止策の強化」といった中国の経済対策が、円買い戻しのきっかけになったのも腑に落ちます。
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