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離婚して「広い家と重いローン」だけが残ったケース
鈴木さん(仮名)は2人目の子どもができたタイミングで、それまでの賃貸住宅が手狭になったことから、広い家を購入することにしました。鈴木さんは間取りやインテリアへのこだわりが強かったため、中古物件を買って自分の好みにリノベーションすることを選択しました。
築20年の戸建てを1800万円で購入し、1000万円かけて大々的にリノベーションしました。当初はもう少しリノベーション費用を抑えるつもりでしたが、計画していくなかでどうしても要求が高くなり、理想の家を創るためにどんどん予算が上がっていきました。それでも、妻が産休を終え仕事復帰すれば、余裕でローン返済できるだろうと考え、思い切りました。
その結果、リノベーションの出来栄えには大満足。理想のライフスタイルを手に入れられたと、当初は大喜びでした。しかしその5年後、鈴木さんを悲劇が襲います。
鈴木さんは自宅購入後に夫婦仲が悪化し、離婚することになったのです。子どもは妻が引き取り、家を出ていきました。家族で住むことを前提にしていた家は、ひとりで暮らすには広すぎ、寂しさがつのったといいます。また、住宅ローンも夫婦2人で返済することを前提にしていたため、ひとりでは負担が重く、さらに子どもの養育費で生活は非常に苦しくなってしまいました。
そこで、家を売ってしまおうと考え、地元の不動産会社に販売を依頼しましたが、一向に買い手がつきません。物件代金とリノベーション費用に加え、諸費用までフルローンで購入していた鈴木さんは、この時点でまだ2600万円以上のローンが残っており、とてもその金額で売れる気配がありませんでした。ほかの不動産会社にも相談しましたが、せいぜい売れても2200万円が精一杯という見解だったそうです。
結局、売ることができなくなった鈴木さんはギリギリまで生活費を切り詰め、住宅ローンと養育費を払いながら、必要以上に広くてきれいな家でひとりきり、苦しい生活を続けることになりました。
「中古+リノベ」でも、資産性が高まらない理由
新築よりも資産性が高いといわれている中古住宅のリノベーションですが、鈴木さんのようなケースが起こり得る理由として、下記があげられます。
理由① リノベにかけた資金は、資産として残らない
不動産の価値は「土地価格+建物価格」で決まります。土地価格はある程度安定していますが、建物は年数を追うごとに価値が下がり続けます。
ここで注意すべき点として、リノベーションはあくまでも建物を再生するだけであり、年数の経過とともにその価値は再び落ちていきます。これは新築住宅の資産価値が落ちるのと同じ理屈です。
そのため、築20年の家を1000万円かけてリノベーションしても、更にその20年後にはその価値は落ち切っており、ほかの築40年の家とほとんど変わらなくなります。つまり、リノベーションにかけた資金は資産としては残らないのです。
理由② オーナーのこだわりに過ぎず、万人受けしにくい
とくに高額のリノベーションをした場合は、オーナーのこだわりが詰まっているケースが多く見受けられます。一見、お金をかけた分だけ素晴らしい家に見えますが、それはその人個人のこだわりであって万人受けしないことが多いのです。
つまり、こだわってお金をかけた部分は他人からすると過剰なものが多く、実際に売るときにはかけた費用ほど高くは売れないということが珍しくありません。
以上のことから、オーナーの「想定」より、かなり下方修正しないと売却は実現できない可能性が高く、この現実を突きつけられ、打ちのめされる売主は決して少なくないのです。
加藤 康介
ライフソレイユ株式会社 取締役
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