死後事務委任契約の費用をめぐるトラブルは起きやすい…?
本契約に関する費用をめぐるトラブルも発生しています。こちらではトラブルになった事例を紹介します。
受任者が預けたお金を私的に流用してしまった
受任者に預託金という形でお金をまとめて預けておけば、死後事務に関する費用をそのお金の中から賄ってもらえるので、委任者にとっては便利です。
しかし、受任者に多額のお金を預けてしまうと、ギャンブルやレジャー等、私的な出費に利用されてしまう可能性もあります。この場合は、裁判で契約違反を理由とした損害賠償請求訴訟等を提起することになるでしょう。
このような事態にならないよう、事業者へ依頼した方が無難です。事業者は法人である場合が多く、組織で死後事務を行うので、お金の管理は徹底されています。
また、受任者が委任者より前に死亡し、委任事務が行えないというリスクも避けられます。
事業者と契約を解約したら、預託金が返ってこない
事業者に預託金等を預ければその管理は徹底され、安心して死後事務を任せられます。
しかし、死後事務サービスを扱う事業者が増加し、事業者から預託金の説明が十分に無く、トラブルに発展しているケースもあります。
独立行政法人国民生活センターでは、次のような預託金トラブルの事例をとりあげています。
・亡くなった後の事務手続き等を代行する事業者と契約、満足な説明もなく預託金として100万円を支払うように求められた。担当者からは早く支払うよう急かされ、どうしようか悩んでいる。
・事業者に預託金を支払ったが、その後解約した。解約は認められたが、何らの説明もないまま、預けたお金の一部しか戻らなかった。
このようなトラブルに発展したら、弁護士等の法律の専門家へ相談してみましょう。的確なアドバイスを得られるはずです。
死後事務委任契約の手続きの流れは
こちらでは、契約手続きの流れやポイント、契約についてどこへ相談するべきかを解説します。
契約手続きの流れやポイント
契約手続きは概ね次の流れで進みます。契約書を作成するのが、死後事務を円滑に進めるポイントです。
1.受任者となってくれる人を選び、同意を得る
2.死後に行ってもらう作業、費用等の支払方法を取り決める
3.契約書を作成し、内容を委任者・受任者で確認の契約書に署名押印
死後事務委任契約は口頭でも成立します。ただし、内容を契約書にまとめておかないと、受任者が事務を行う際、取り決めを忘れてしまう可能性があるので注意しましょう。
なお、死後事務委任契約を公正証書で作成すれば、契約内容の改ざんや契約書が破棄されるリスクを回避できます。手順は通常の契約書とやや異なります。
1.受任者となってくれる人を選び、同意を得る
2.公証人と相談するため公証役場へ必要書類を持参する
3.委任する死後事務の内容を決定
4.公証人の作成した公正証書案を確認する
5.完成した公正証書に署名押印
公正証書の作成手数料は概ね1万円からです。事業者と契約を締結する際は、基本的に公正証書での作成が要求されます。
後藤 光
株式会社サステナブルスタイル 代表取締役