※画像はイメージです/PIXTA

「離婚」と「家」は、切っても切れない関係です。離婚で夫婦の関係は解消できても、「持ち家」にまつわる諸問題はそう簡単ではありません。離婚が成立しても「ローンのある家」が残っていれば、将来のトラブルの原因となる可能性は非常に高いといえます。本稿では、よくある「離婚+持ち家」のトラブル事例を通じ、留意すべきリスクをくわしく見ていきます。

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    「離婚後も相手名義の家に住み続ける」恐ろしいリスク

    渡辺さんのような悲劇に見舞われないためには、離婚時に家の問題を先送りにしないことが重要です。

     

    まず、離婚後も相手名義の家に住み続けるリスクを挙げてみます。

     

    ●渡辺さんのように、相手がローン返済できなくなる可能性がある

    ●相手の単独名義の場合、勝手に売却される可能性がある

    ●共有名義の場合、将来売却する際に双方の同意が必要となり、面倒

    ●ローンを連帯保証していると、相手が支払わなくなった際に自分に請求が来る

     

    これらのリスクを将来にわたって負い続けるのは、非常に危険です。また、せっかく離婚して関係を清算したのに、家やローンがある限り、お互いの関係を切ることができなくなってしまいます。

     

    そのためにも、お互いの将来にリスクが残らないよう「家の問題」を話し合ったうえで離婚することが望ましいのです。

    「養育費代わりの住宅ローン」はよくある条件だが…

    渡辺さんのように、子どもの養育費や慰謝料の代わりに(もしくは養育費に加えて)相手が住宅ローンを払い続けるというのは、離婚条件としてはよくあるパターンです。しかし、これでは前述のような「将来リスク」が長期的に残ってしまいます。

     

    では、どのようにするのがいいのでしょうか。筆者が同様のケースの相談を受けたときは、基本的な考え方として以下のようにお伝えしています。

     

    ●その家でなければならない理由がないなら、転居して養育費をもらうべき

    ●相手名義の家に住み続けるなら、退去を迫られるリスクを覚悟しておくこと

    ●共有名義や連帯保証は必ず解消しておくこと

     

    よほどの理由がない限り、離婚した相手の名義の家に住み続けることは避けるのが原則です。目先のことに気を取られ「いまの家に住めるなら住み続けたい」と思う気持ちはわかりますが、長期的に見れば決していい方法とはいえません。

    共有名義や連帯保証は必ず解消しておく

    先程も触れましたが、共有名義や連帯保証は必ず解消しておくべきです。渡辺さんの場合は連帯保証をしていなかったことが救いですが、もし連帯保証をしていたら、元夫が払えなくなったローンが渡辺さんに請求されるところでした。

     

    この点は、転居する場合も同様に注意が必要です。実際に、離婚して転居した数年後、元配偶者がローンを払えなくなり、銀行から請求が来たというケースも多々あります。

     

    また、共有名義の不動産は離婚を期に売却しておくべきです。共有名義だと、将来売却しようと思ったときに相手方の承諾が必要になるからです。もしそのとき音信不通でどこにいるかもわからないといった状態になると、売ることも貸すこともできなくなります。

     

    以上のように、離婚と家の問題は根深く、離婚を先走って家のことをうやむやにしてしまうと、将来大きなトラブルに見舞われるリスクを残すことになります。相手との関係を完全に清算する意味でも、離婚と同時に家の問題も片づけておくようにしましょう。

     

     

    加藤 康介
    ライフソレイユ株式会社 取締役

     

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