口座凍結トラブルを防ぐ「代理人キャッシュカード」
……A.本当です。ただ、限定的な支払いなら可能になりました
口座名義人が死亡すると銀行口座が凍結されることはよく知られていますが、認知症などで判断能力が低下した場合にも凍結されることがあるのです。
「じゃあ、本人の医療費や介護費用はどうやって引き出すの」と思いますよね。その場合、成年後見制度を利用するよう提案されるはずです。でも実際には、成年後見制度は使い勝手が悪く、あまり広まっていないのが現状です。
そんななか全国銀行協会は、2020年、2021年と立てつづけに、認知症の高齢者の預金の引き出しについて、業界統一の考え方を示しました。その条件としては、「介護施設や病院の領収書などで、引き出す目的が明確になっていること」など、明らかに本人の利益になる場合に限ることをあげています。
そうはいっても、手間がかかるのは事実。手軽に引き出せる方法としては、家族で使える代理人キャッシュカードがおすすめです。生計を一にする親族であればカードを1~2枚作ることができます。銀行で「代理人指名手続き」を行えば、定期預金などの解約も可能です。
いずれにしても、口座名義人に判断能力がなくなってからでは手続きできませんので、早めの対応が必須と言えるでしょう。
「日常生活自立支援事業」の活用も検討
離れて暮らす親の判断能力が低下してきた場合、各地の社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」の活用を検討してみましょう。判断能力が十分でない人でも住み慣れた地域で暮らしつづけられるよう、契約した生活支援員が日常生活にかかる費用の管理や、印鑑や通帳などの重要書類の預かり、福祉サービスの利用料の支払い代行などをしてくれます。