【介護体験】老老介護の父がうつ状態に
3カ月の介護休業をとり親とサービスをつなげた57歳の娘
■KAYさん(57歳)
東京都在住。母はパーキンソン病とアルツハイマー型認知症を患い、83歳で他界。父(87歳)は現在在宅で介護サービスを受けながらひとり暮らし。腎臓病が悪化して週3回の人工透析を受けている。
10歳の子どもをおいて実家で介護
母の変化に気づいたのは、私の住む東京に遊びに来たときのこと。作ってくれた肉じゃがが、ものすごく塩辛かったのだ。その後、電話で同じことを繰り返し話すようになり、感情を相手にぶつけるようになった。両親が言い合いする姿を、私はそれまで見たことがなかった。
母の認知症はこのとき進行していたのだが、父はそれを認めたくなかったのだろう。私も仕事や子育てに忙しく、頻繁には帰省できなかった。親は困った状況にあってもなかなか言ってはくれない。気づいたときには、父は心身ともに疲れ果ててうつ状態になってしまった。「このままでは共倒れになってしまう」と思い、介護休業を3カ月取得して実家に帰ることにした。
当時、わが子は10歳。実家に連れていくことはできず、帰宅の遅い夫にすべてまかせることもできない。平日はシッターさんに依頼し、私は土日に東京に戻るという生活を3カ月つづけた。
母のために……がカラ回りする
まずやったのは、母の要介護認定の申請だ。主治医に連絡し、地域包括支援センターに足を運んだ。また、父が休養をとれるよう、母の病院の付き添いや夜中のトイレ介助など、直接的な介護も担当した。
介護を始めてつらかったことは、母によかれと思っていることに対して母から否定的な言葉を言われることだった。健康だったころの親を念頭においていると、冷静ではいられないこともある。ひと呼吸おいて気持ちを切りかえて対応しなくちゃ、と思っていたがむずかしかった。
要介護認定がおりてから、母はディサービスに通い始めた。最初は楽しく通っていたが、認知症が進むにつれて母に合うサービスは受けられなくなった。介護休業が終わってからも定期的に帰省し、母が入居できる施設を探していたが、その間に母は誤嚥性肺炎で亡くなってしまった。