「いまさら聞けない」住民税とは?
住民税とは地方税に含まれる税金種別です。では、地方税とは何でしょうか?
まず、教育、福祉、消防・救急、ゴミ処理といった、私たちの生活に根差したサービスの多くは市区町村や都道府県によって提供されています。地方税は、こうしたサービスに必要な財源を賄うために、その地域に住む住民などが共同して負担しあうものです。地域社会の会費といったところでしょうか。地方税は、下記のように分類されています。
【図表1】で示されているとおり、地方税は「市町村税」「道府県税」に大別されます。また、住民税は「市町村民税」と「道府県民税」の2種類があります。
「市町村民税」は「市町村税」に、「道府県民税」は「道府県税」にぞれぞれ分類されます。
住民税の内訳
住民税には所得の額に応じて課せられる「所得割」と、所得の額にかかわらず、所得のある人に均等に課せられる「均等割」から成ります。
港区を例に考えてみましょう。東京23区の場合は、他の政令指定都市の区と異なり、「市町村民税」ではなく「特別区民税」といいます。政令指定都市とは、地方自治法で「政令で指定する人口50万以上の市」と規定されている都市のことです。
すなわち、港区民が払うのは「特別区民税」と「都民税」です。
住民税① 「所得割」
「所得割」の税率は所得に対して10%(道府県民税が4%、市町村民税が6%)※1とされており、前年の1月1日から12月31日までの所得で算定されます。一般的に社会人1年目に住民税が課税されないのは、「所得割」が前年の所得に算定されるものだからです。
※1 政令指定都市については、道府県民税が2%、市民税が8%
住民税② 「均等割」
所得のある人が一律に負担する「均等割」は、港区含む東京23区では「特別区民税」が3,500円、「都民税」が1,500円です。
住民税が非課税になる要件
では、住民税がかからない世帯の要件を見ていきましょう。
①「所得割」がかからない人
◆前年中の総所得金額等が次の金額以下である
- 同一生計配偶者と扶養親族がいない人で
45万円以下 - 扶養親族等がいる人で
35万円×(同一生計配偶者と扶養親族(年少扶養含む)の人数+1)+10万円+32万円以下
(参照元:東京都港区ホームページhttps://www.city.minato.tokyo.jp/kouhou/kuse/koho/minato2023/202301/20230121toku/03.html)
②「所得割」も「均等割」もかからない人
(1)その年の1月1日現在、生活保護法による生活扶助を受けている人
(2)その年の1月1日現在、障害者・未成年者・ひとり親・寡婦で前年中の合計所得金額が135万円以下の人
(3)その年の1月1日現在、前年の合計所得金額が次の金額の人
- 扶養親族、同一生計配偶者等がいない人で
- 45万円(給与収入で100万円)以下
- 扶養親族、同一生計配偶者がいる人で
35万円×(同一生計配偶者と扶養親族(年少扶養を含む)の人数+1)+10万円+21万円以下
いずれにせよ、生活の支出に対して低所得であることが認められる必要があります。一方で、たとえ親と同居中の未成年で学生であっても、前年度にアルバイトを頑張って136万以上稼いでいれば、住民税を徴収される場合があります。
今回は低所得世帯向け給付金の受給要件の1つである住民税非課税世帯に焦点を絞って、港区を例に解説しました。ここで「高所得者が集まるイメージのある港区に住民税非課税世帯の人はほとんどいないのでは?」という疑問がわくのではないでしょうか。
残念ながらその答えは「ノー」です。