二次相続時に兄弟で起きた「トラブル事例」
こちらでは実際に起きたトラブル事例を2つ紹介しましょう。一次相続→二次相続の流れは共通しています。
・被相続人:父親死亡(一次相続)
・相続人:母親死亡(二次相続)
・相続人:子A・B 2人
兄弟の誰かが遺産隠し・使い込みをしていた
二次相続時、被相続人の遺産が予想以上に少なく、被相続人の預金口座の不自然な減少が判明した、という事例です。
【内容】
父親が数年前に亡くなり(一次相続)、母親が数千万円を相続していました。母親は病気がちになり長女Aが財産を管理しています。
その母親も亡くなり(二次相続)、長女A・長男Bは遺産分割を開始します。しかし、長女Aによれば母の遺産は一次相続で引き継いだ金額の1/3しかない、と主張しました。
長男Bは「わずか数年で父親から譲り受けた遺産が1/3も減るはずはない!」と、長女Aに問い詰めました。
それに対し、長女Aは「病気がちの母親のために使った」の一点張りで使い込みをした事実はない、と反論しています。
【事例の解決方法】
話し合いが平行線のままなら弁護士をたてて、説得にあたりましょう。遺産分割に関する調停・審判が行われ、遺産隠し・使い込みの事実が判明すると、長女Aはかなり不利になるはずです。
そのデメリットを法律の専門家である弁護士が冷静に伝えれば、長女Aが話し合いに応じる可能性は高くなります。
不平等な分割方法を主張する
親がいなくなったため遠慮もなくなり、相続人が無謀な主張をした、という事例です。
【内容】
父親が数年前に亡くなり(一次相続)、母親も亡くなり二次相続が発生しました。母親の遺産には預貯金があり、子供たちで半分ずつ相続するのが一般的です。
しかし、長男Aは「俺は長男だから、遺産は全て一人で相続する」と言い出しました。
長女Bが民法の法定相続に従い1/2ずつで分割するべき、と説得しても聞く耳を持たず、頭を抱えています。
【事例の解決方法】
遺産分割調停・審判を行うべきでしょう。遺産分割調停は家庭裁判所の関与する話し合いなので、長男Aも無視できない状態となるでしょう。
遺産分割調停が不調に終わっても、審判では遺産分割の方法を強制的に裁判所から決定されてしまいます。当然ながら長男Aの身勝手な主張は通りません。
二次相続時に兄弟間での「トラブルを避ける方法」を解説
二次相続で兄弟トラブルが起きないよう、被相続人は事前に対策を考えておきましょう。例えば、一次相続の際に子供の相続分を増やす、子供に生前贈与を行う方法が考えられます。
一次相続の際に子供の相続分を増やす
一次相続・二次相続で被相続人となる夫婦間でよく話し合い、一次相続の際に子供の相続分を増やす方法が有効です。
夫婦の一方の受け取る遺産が少なければ、その分、子供同士の相続トラブルのリスクは減ります。
例えば夫が病気がちだったり妻よりも高齢だったりする場合、夫は早めに遺言書を作成し、子供へ多めに財産分与する内容を記載しておいた方が良いでしょう。
子供たちに生前贈与を行う
一次相続・二次相続の被相続人に共通する対応策として、子供たちに生前贈与を行う方法があげられます。
一次相続の被相続人がまず生前贈与を開始し、兄弟1名につき毎年110万円以内の金額を贈与していけば、原則として受贈者である子供たちに贈与税もかかりません。
一次相続の被相続人が亡くなった後は、二次相続の被相続人が生前贈与を開始するという形で、順当に資産を減らしていけば、兄弟の遺産相続分はわずかとなり、相続トラブルのリスクが軽減されるはずです。
二次相続時に兄弟間でトラブルが発生してしまった際の対処法
兄弟が協力して問題を解決していきましょう。例えば、遺産分割し難い不動産資産を相続する場合、まず兄弟のどちらかが相続登記をする等して引き継ぎます。
その後に不動産会社の協力を得ながら、買主を見つけて、不動産を売却し、得たお金を平等に分けることも可能です。
なお、話し合いがまとまらなかったら、家庭裁判所に申立て、遺産分割調停を行う方法があります。それでも調停が不成立となれば、遺産分割審判に進み裁判所の決定を受けます。
後藤 光
株式会社サステナブルスタイル 代表取締役