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収入が減った、急な出費が増えた、などの理由で、国民年金の納付負担が大きく滞納してしまった経験を持つ人もいらっしゃるでしょう。しかし、年金の滞納には多くのリスクを含みます。リスクを回避するには、滞納した際の対応が重要です。本稿では、岡山県司法書士会の立山慶之司法書士監修のもと、国民年金を滞納した場合に起こるリスクとその対処法について解説します。

借金がある場合は債務整理を検討する

「借金を抱えていて年金の納付が難しい」「借金返済も滞納しているのに、年金を支払う余裕がない」といった場合、債務整理を検討することで支払いを減免できる場合があります。

 

債務整理とは、滞納や返済不能な債務がある場合に借金を減免してもらう制度のことです。

 

ただし、国民年金保険料や各種税金などを債務整理で減免することはできません。一方、消費者金融やカード会社から借金をしている場合には、債務整理によって返済方法の見直しや借金の減免を受けられる場合があるのです。

 

債務整理には、主に以下のような種類があります。

 

・自己破産

裁判所を通して、現在借金している全額の支払い義務を免除してもらう手続きです。自己破産の手続きをすると、いわゆるブラックリストに載った状態となるほか、不動産や預貯金などの財産がある場合は、生活に必要な最低限を除いて処分されるなどのデメリットがあります。

 

・個人再生

裁判所を通して借金を大幅に減額し、返済期間や返済方法も見直してもらう手続きです。減額や返済回数の延長などはできても支払い義務は残るため、借金を返済する意思があることが前提となる点が自己破産とは異なります。

 

ブラックリスト入りするリスクはありますが、持ち家を手放さずに住み続けられるほか、一部財産保有を認めてもらうことが可能です。

 

・任意整理

裁判所を通さず、債権者と交渉することで将来的に支払う利息を減額し、3~5年かけて借金を完済する手続きです。

 

基本的には利息の減額と返済額や返済期間の延長がメインとなるため、ほかの債務整理に比べると減免の効果は小さいですが、財産を処分せず保有できる点や保証人への影響を避けられる点、などがメリットとして挙げられます。

 

債務整理で年金以外の借金を減額したり、月々の返済額を減らしたりすることで、年金が納付しやすくなるでしょう。

 

債務整理は専門家へ手続きを依頼するのが一般的です。専門家へ依頼することで督促の連絡などから解放されるうえ、手続きや交渉もスピーディに進めることができるでしょう。

将来のリスクを極力減らすために

国民年金を滞納すると催告状などが複数回届き、無視を続ければ最終的に強制徴収となって財産を差し押さえられる可能性もあります。年金の納付は国民の義務となっており、未納や滞納は厳しく徴収されるだけでなく、将来的に年金を受け取れない可能性も高まるのです。

 

年金の支払いが難しいと感じた時点で、減免や納付猶予措置を申請することで滞納扱いにならず、受給資格期間にカウントしてもらえます。他の借金返済も苦しい場合は、債務整理などを検討することも可能です。

 

 

立山 慶之

岡山県司法書士会

司法書士

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