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収入が減った、急な出費が増えた、などの理由で、国民年金の納付負担が大きく滞納してしまった経験を持つ人もいらっしゃるでしょう。しかし、年金の滞納には多くのリスクを含みます。リスクを回避するには、滞納した際の対応が重要です。本稿では、岡山県司法書士会の立山慶之司法書士監修のもと、国民年金を滞納した場合に起こるリスクとその対処法について解説します。

年金を滞納した場合のリスクとは?

はじめに、年金を滞納した場合のリスクについて解説します。国民年金を滞納した場合、以下のようなリスクがあることを知っておきましょう。

将来の年金額が減る

毎月の国民年金保険料額は、毎年細かく見直しが行われており、令和5年度の保険料は月額16,520円となっています。

 

毎月の保険料を20才~60才まで納付した場合、65才より満額の国民年金を受給することができます。

 

年金を滞納した場合の期間は「未納期間」となります。未納期間は年金納付期間に合算されないため、未納期間に応じて将来的に受け取る年金額が少なくなってしまいます。

年金がもらえなくなる

年金を滞納すると、将来受け取る年金の額が少なくなるだけでなく、未納期間によっては年金そのものがもらえなくなる可能性もあります。

 

国民年金を受給できる要件は、納付済み期間と免除期間などを合算した期間が10年以上あることとされています。

 

そのため、未納期間が長く合算期間が10年に満たない場合、年金がもらえなかったり、障害年金が受け取れなかったりする可能性があるのです。

延滞金や差し押さえのリスクも

国民年金の納付書には、納付期限が記載されています。期限を過ぎても納付せずに滞納した場合、納付期限の翌日から年金を納付した日までの間に延滞金が発生してしまいます。

 

また、一定の収入があるにもかかわらず滞納を続けた場合、預貯金などが差し押さえにあう可能性もあるのです。

 

「年金は差し押さえの対象にならない」という話を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、この場合の年金は受給する年金のことを指しています。年金の受給権は法律で差し押さえが禁止されていますが、国民年金保険料の滞納は差し押さえの対象となるのです。

 

そのため、納付しなければならない国民年金保険料を納付しなかった場合には「強制徴収」となり、財産を差し押さえられて年金を徴収されてしまうリスクがあります。

年金の滞納で差し押さえにあうまでの流れ

年金を滞納すると財産が差し押さえられるリスクがあることがわかったところで、実際にどのような流れで差し押さえられることとなるのかを解説します。

差し押さえまでのステップは6つ

国民年金の滞納から差し押さえに至るまでは、以下の6つのステップを辿ります。

 

・納付書が届く

国民年金保険料の納付書が自宅に届きます。

 

納付書には納付期限が記載してあり、通常はこの期限までに保険料を納付することとなります。

 

・納付督励

期限を過ぎても保険料を納付しないでいると、日本年金機構から国民年金が未納であること、すみやかに納付するようにとの催告状が届き始めます。

 

この期間は納付督励(のうふとくれい)と呼ばれており、未納になっている年金を自主的に納付するようすすめる期間となっています。

 

納付督励中に年金滞納を続けていると、催告状が複数回届き、電話連絡や自宅訪問などが行われることもあります。催告状の封筒の色は青から黄色、赤色の順に警告度が高まり、赤色のものは「特別催告状」と呼ばれます。

 

・最終催告状

納付督励中、催告状は青、黄、赤色の合計3回届きます。赤色の特別催告状が届いても年金を支払わないでいると、「最終催告状」と呼ばれる封書が届きます。

 

納付督励中に送られる催告状は「支払いを忘れていませんか、期限までに納付をしてください」と自主的な納付をすすめるようになっていますが、最終催告状では期限までに納付されない場合、自動的に財産を差し押さえる手続きに入っていきます。

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