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自己破産をすると、「年金」にはどのような影響が出るのでしょうか。本稿では、東京司法書士会の寺島能史司法書士監修のもと、自己破産後の年金について詳しく解説します。

自己破産しても年金はもらえる?

自己破産をしても、「個人年金」以外であれば原則として受けとることができます。

自己破産しても公的年金はもらえる

年金は、大きく分けて「公的年金」と「私的年金」の2つに分けられ、自己破産後も受給できるかは、法律により差し押さえが禁止されているかどうかで決まります。

 

公的年金は国が運営している年金で、差し押さえが禁止されているため自己破産をしても受給することができます。

 

公的年金の種類

 

個人年金で差し押さえられる年金

私的年金には個人で契約をする「個人年金」と企業が独自に定める「企業年金」の2つがあり、個人年金については差し押さえが禁止されていないため、自己破産による処分の対象となる場合があります。

 

○個人年金の種類

 

・個人年金保険(終身年金、確定年金、定額年金、変額年金)

 

○企業年金の種類

 

・厚生年金基金

 

・確定給付企業年金

 

・確定拠出年金

 

・退職年金給付

自己破産で年金が差し押さえられる3つのケース

続いて、自己破産により年金が差し押さえられるケースを紹介します。

1.受給した年金を現金や預金で一定額以上持っている場合

すでに受給した年金で一定額以上の現金及び預金は処分の対象となります。これは、差し押さえが禁止されている公的年金・企業年金であっても、既に受給しているものは対象となってしまいます。

 

処分の対象となる具体的な金額は次の通りです。

 

・現金の場合 99万円以上

 

・預金の場合 20万円以上
 

2.個人年金の解約返戻金が20万円以上ある場合

個人年金の解約返戻金が20万円以上になる場合は、保険を解約しなければならない場合があります。

 

自己破産では一定額以上の財産は処分しなければならず、保険の解約による返戻金もその対象となります。

 

裁判所によって基準となる金額は異なりますが、契約している個人年金の解約返戻金が20万円以上となる場合は、処分の対象となる可能性が高いでしょう。

3.年金受給の口座が借入のある銀行の場合

厳密には差し押さえではありませんが、自己破産の対象となる銀行の口座を年金の振込先に指定している場合、口座が凍結されるため一時的に年金を受け取れなくなります。

 

このようなケースでは、自己破産の前に年金の受取口座を変更しておきましょう。

年金受給中の自己破産で知っておきたいこと

家族が自己破産した場合も年金は受給できる

前述の通り、年金の種類によっては自己破産により受け取りが制限されますが、この制限はあくまで自己破産をした本人のみの影響のため、家族が受け取っている年金に制限はかかりません。

 

たとえ配偶者であっても、一方が破産した場合に他方が個人年金を解約する必要はないのです。

自己破産しても生活保護は利用できる

自己破産をしても生活保護を利用できる場合があります。

 

たとえ年金を受給中であっても、最低限度の生活を送ることが困難、保有している資産がないなどの条件を満たせば生活保護の対象となります。

不安があれば司法書士・弁護士に相談を

自己破産をすると、公的年金・企業年金は差し押さえの対象になりませんが、個人年金は処分に対象となる場合があります。ただし、公的年金・企業年金であってもすでに受給したものについては、額によっては差し押さえの対象となります。

 

自己破産をしたいが年金への影響が不安という方は、自己破産に詳しい司法書士・弁護士に相談してみましょう。

 

 

東京司法書士会 司法書士

寺島 能史

 

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