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収入が減った、急な出費が増えた、などの理由で、国民年金の納付負担が大きく滞納してしまった経験を持つ人もいらっしゃるでしょう。しかし、年金の滞納には多くのリスクを含みます。リスクを回避するには、滞納した際の対応が重要です。本稿では、岡山県司法書士会の立山慶之司法書士監修のもと、国民年金を滞納した場合に起こるリスクとその対処法について解説します。

・督促状

督促状は、最終催告状を無視していると届きます。

 

督促状が届くと差し押さえまで待ったなしの「強制徴収」へと進んでいきます。延滞料も発生し始め、連帯納付義務のある家族のもとへも、督促状が届きます。

 

・差押予告通知書

督促状に対して何の行動も起こさないでいると、「差押予告通知書」と呼ばれる書面が届きます。強制徴収の段階に入っているため、日本年金機構は滞納者の財産について調査を行い、預貯金や所有している不動産、自動車など差し押さえ対象となる財産の調査が終わると差押予告通知書が送られてきます。

 

・差し押さえ

差押予告通知書が届いた後は、何の通知も連絡もなく突然財産が差し押さえられてしまいます。預貯金や給与振込みのある銀行口座から強制的に引き落としが行われるだけでなく、自動車や不動産が使用できない事態になる可能性もあるのです。

差し押さえは納付額を満たすまで続く

一度の差し押さえが納付額に満たない場合、延滞金を含めた滞納額に達するまで差し押さえは続けられます。財産が差し押さえにあう「強制徴収」の対象となる要件は、2023年現在以下のようになっています。

 

年金滞納分の強制徴収対象者:控除後所得が300万円以上、未納月数7ヵ月以上

 

上記の要件に該当し、なおかつ再三の催告状や督促状を無視して滞納を続けた場合、1ヵ月の生活費を除いた給与や不動産、有価証券、自動車といったあらゆる財産が差し押さえの対象となってしまいます。

本人の家族の財産が差し押さえにあうことも

年金の滞納で財産が差し押さえられるのは、滞納した本人だけではありません。年金を滞納した人の家族の財産も、差し押さえられるケースがあります。

 

国民年金は、国民の義務として20才~60才までの40年間納付が義務付けられています。本人が納付できない場合、「世帯主」と「配偶者」は連帯納付義務者として年金納付の義務があることも、法律で定められているのです。

 

そのため、本人の預貯金や不動産などが差し押さえられるだけでなく、世帯主や配偶者の財産も差し押さえにあう場合があるため注意が必要です。

年金滞納に時効はある?

年金の滞納には法律で時効が定められており、その期間は2年とされています。

 

つまり、年金を滞納して2年が経過すると、日本年金機構が年金を徴収する権利がなくなるため、滞納している年金を納付しなくてもよくなります。

 

「年金を滞納しても、時効が来れば納付する必要がなくなるのだから無視してもよいのでは」と考えたくなりますが、時効を待つのは現実的ではなく、おすすめできません。滞納の時効は2年ですが、2年以内に督促状が出されると、その時点で時効の期間が更新されてしまうからです(消滅時効)。

 

数十年前であれば、国民年金の滞納や未納期間があっても督促状が出されることなく2年以上が経過して時効となっているケースも少なくありませんでしたが、現在国では積極的に国民年金の徴収を進めています。

 

そのため、年金を滞納しても2年以内には督促状が送られてきて、時効がリセットされてしまう可能性が高いと考えた方がよいでしょう。

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