〈夏休み特別企画〉親子で学ぶ「株式会社」のしくみ…「どうやって設立するの?」「世の中への貢献は?」「出資するメリットって?」経済評論家が解説!

〈夏休み特別企画〉親子で学ぶ「株式会社」のしくみ…「どうやって設立するの?」「世の中への貢献は?」「出資するメリットって?」経済評論家が解説!
(※写真はイメージです/PIXTA)

世の中にはたくさんの会社があります。だれもが知る有名な会社、家族で力を合わせて経営しているもの、社長1人で自由に経営しているもの…。もっとも、みなさんが「会社」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは「株式会社」ではないでしょうか。ここでは、株式会社のしくみと、株式会社が世の中にどのように役立っているのかみていきましょう。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

株式会社=大勢がお金を出し合って「会社」を作る仕組み

株式会社はまず、会社を作るときに「資金を出してくれた人」へ「株券」を渡します。株券を持っている人は「株主」と呼ばれ、会社が儲かったときには「配当」という形で分前にあずかれるほか、会社が解散するときには会社の財産の山分けに参加できます。それから、社長を選ぶための選挙で投票することができます。

 

1人で会社を作る場合でも株式会社にする場合はありますが、大勢で資金を出し合って作る場合のほうが、メリットが大きいしくみとなっています。

 

最初は1人で作っても、のちに会社を大きくすることになると、追加で資金を募るケースもあり、その場合には、結果として大勢で資金を出し合って会社を作ったのと同じことになります。

事業に必要な契約も「社長のサイン」だけでカンタンに!

たとえば、筆者が友人たちと資金を出し合って、パンを仕入れて売る仕事をするとします。店を借りる契約、アルバイトを雇う契約、銀行預金の口座開設等をするたびに、金を出し合った全員がサインしなければならないならば、面倒です。

 

しかし、たとえば「塚崎パン株式会社」を設立すれば、会社は人間と同じように契約を締結することができるので、社長が1人で契約書にサインすればよくなります。もっとも、その際のサインには気を付ける必要があります。

 

「塚崎公義」と書いて(塚崎)という印を押すと、筆者個人の契約になってしまうので、もしも家賃を滞納したときにには、家主が筆者の財布から取り立てようとするでしょう。それでは困るので、契約時には「塚崎パン株式会社 社長 塚崎公義」と書いて(塚崎パン株式会社の印)を押します。そうすれば、会社の契約となるので、家主は会社の金庫に行って経理担当者から取り立てようとするでしょう。

個人では実現不可能な「巨大プロジェクト」が実行できるワケ

発電所や製鉄所などを作ろうとすると、巨額の資金が必要ですから、いくらお金持ちの友人たちと資金を出し合ったところで足りないでしょう。そんなとき、株式会社を作って上場すれば、全国から大勢の零細投資家が資金を出してくれます。顔見知りでなくてもいいので、何百万人もの投資家が株を買ってくれれば、巨額の資金が集まるでしょう。

 

巨額の資金を集めなくても銀行から資金を借りればいいのでしょうが、銀行は資本金の少ない会社に巨額の資金を貸すのを嫌がります。プロジェクトが失敗したとき、資本金が少ないと銀行が巨額の損失を被ることになるからです。そこで、銀行から巨額の借金をするには、資本金もそこそこ巨額なものにしておかなければならないのです。

 

そもそも、銀行は株式会社であって、巨額の預金を集めるためには巨額の資本金を持っていなければならない、ということもありますね。

「リスクの分散」ができるのも魅力

塚崎パンであれば、筆者が全財産を投じれば、友達から資金を集めなくても設立できるでしょう。しかし、そうなると、事業が失敗した場合に筆者は全財産を失って路頭に迷ってしまうかもしれません。

 

世の中の中小企業のなかには、オーナー社長が全財産を投じて会社を設立して全ての株を持っている、という場合もありますが、筆者はそこまで勇気がありません。

 

筆者ならば、友人とあわせて10人で10分の1ずつ株を持つでしょう。そうすれば、事業が失敗しても財産の10分の1を失うだけですみますから、「気楽に」事業を始めることができるわけです。

 

世の中には、6割の確率で2倍になるけれども4割の確率でゼロになる、というような投資案件が多数あります。期待値はプラス(確率的には儲かる)わけですが、多くの人は臆病(慎重)なので、手を出さないのです。

 

多くの人は、たとえば「2倍になるかゼロになるか確率が五分五分だったら投資しない。7割の確率で2倍になるような投資案件があるならば投資してもいいが…」と考えています。そこで、少しだけ大胆な人(臆病度合いが少ない人)は、簡単に期待値がプラスの案件を手にいれることができるわけです。

 

10社作って10人が10分の1ずつ株を持てば、10社とも倒産するのでない限りは全財産を失うことにはなりません。1人で会社を設立するよりもはるかに安全でしょう。大金持ちになる可能性は小さいでしょうが、破産しないという安心感は重要です。

 

そして、確率的には6社の株が2倍になり、4社の株がゼロになり、筆者や友人の総資産は増えることが期待できます。大不況が来て9社が倒産する、ということもあり得ますので、リスクがないわけではありませんが、全財産を1つの会社に注ぎ込むよりは、はるかに安心でしょう。それができるのが、株式会社の魅力の1つですから、活用したいですね。

 

全財産を10社の株に注ぎ込む必要はありません。財産の半分を銀行預金にして、10分の1で1社の株を買い、残りの10分の4で上場企業株の投資信託を買う、というあたりが現実的かもしれません。その程度であれば、財産の半分以上は残りますし、大金持ちにはなれなくても、多少の贅沢はできるくらいの儲けは確率的に期待できるでしょうから、多くの人が採用できるプランだと思います。

 

ちなみに投資信託というのは、プロが大勢の投資家から資金を集めて上場企業の株などを買い、儲かっても損してもそのまま(手数料を差し引いて)投資家に返却する、というものなので、数百社の上場企業の株を少しずつ買ったのと同じ効果が得られるものです。

 

今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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