4―米国消費者は、年金のような生涯給付が保証されている商品への加入についてどう考えているのか
回答者の約4分の3(73%)の人が、IRA3や401(k)含めた会社が提供している年金とは別に、自分で、年金のような一生涯にわたり給付を保証されている商品に加入することについて、関心を示している(図表4)。
一方で、そのようなタイプの商品に実際加入している人は、26%に留まっており(図表なし)、現在の経済状況等による不安を背景に、年金タイプ商品への加入ニーズが高いものと推察される。
3 IRA(Individual Retirement Account:個人退職勘定)は、1974年、米国のエリサ法により、企業年金制度がない企業の従業員に対し、税制優遇措置により貯蓄を奨励する目的で創設された。その後、企業年金に加入している者も含めて全勤労者に適用範囲が拡大されている。拠出額は所得控除され(年間6000ドルまで。50歳以上は+1000ドル。)、運用収益も給付時まで課税を繰り延べることができる。企業年金制度の加入者は、年間所得水準に応じて上限が段階的に引き下げられる。
5―おわりに
以上、ACLIが公表したデータを中心に、米国消費者の老後のための資金準備に対する意識や準備状況等について、見てみた。
インフレをはじめとする現在の経済状況等の中、退職後のための資金準備状況について不安を抱えている人も多く、備えるためのニーズが高いことを示しているものと考えられる。
米国においては、現在、個人年金の販売が非常に堅調であり、ここ数年はこの好調が続くことが予想されている4が、今回の調査結果から読み取れる消費者の意向とも整合しているといえよう。
インフレの状況も先行きが不透明な中、米国の生保・年金マーケットの今後の状況については、引き続き注視していきたい。
4 米国における個人年金の販売状況については、中期見通しも含め、磯部広貴「定額年金を中心に米国個人年金市場は絶好調」『保険・年金フォーカス』(2023年6月21日)にまとめられている。
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