「給与所得者への増税」岸田首相は否定したが…財務相が「大増税」目論む6項目に現役世代、撃沈【マクロストラテジストが解説】

「給与所得者への増税」岸田首相は否定したが…財務相が「大増税」目論む6項目に現役世代、撃沈【マクロストラテジストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

昨年度の税収が71兆円を超え、3年連続で過去最高を更新したとの報道の一方で、先月末に政府税制調査会が出した答申が「給与所得者に対する増税を示唆している」として話題になっています。では、具体的にどのような項目が増税候補となっているのでしょうか。フィデリティ・インスティテュートの首席研究員である重見吉徳マクロストラテジストが解説します。

通勤手当にも課税!?…岸田政権の恐ろしすぎる言い分

通勤手当や現物支給(社宅貸与、食事支給、従業員割引)非課税でなくなる可能性

「(前略)個人所得課税の課税対象となる「所得金額」は包括的に捉えることが原則ですが、例えば、給与所得者に支給される旅費などの実費弁償としての性格を有するものや、一定の社会保障給付など生活保障的性格を有するもののように、その性質や政策的要請により非課税や免税とされて、課税対象から除かれている所得が存在します。

 

これらの非課税所得等については、それぞれ制度の設けられた趣旨がありますが、本来、所得は漏れなく、包括的に捉えられるべきであることを踏まえ、経済社会の構造変化の中で非課税等とされる意義が薄れてきていると見られるものがある場合には、そのあり方について検討を加えることが必要です。

 

特に、政策的要請により非課税等とされている制度については、長寿命化により、そうした所得がこれまで以上に蓄積していく可能性等に鑑みれば、他の所得との公平性や中立性の観点から妥当であるかについて、政策的配慮の必要性も踏まえつつ注意深く検討する必要があります。

 

また、所得には、金銭による収入のみならず、現物給付、すなわち物や権利その他の経済的利益による収入も含まれますが、被用者に対する社宅の貸与、食事の支給、従業員割引など、一定の条件を満たす少額の現物給与など一定のものについては、税務執行上追求しないなどの趣旨から課税しない取扱いがされています」(傍線は本ブログの筆者による)

 

【参考】主な非課税所得

 

  • 給与所得者の旅費や職務の性質上欠くことのできない現物給付などの実費弁償的性格に基づくもの
  • 通勤手当(1ヵ月当たりの合理的な運賃等の額(上限15万円))のように、住宅事情等からみた場合にその全額を課税対象とすることは妥当でないとの政策的配慮に基づくもの
  • 雇用保険上の失業等給付、生活保護給付、遺族基礎年金、遺族厚生年金(遺族自身の厚生年金がある場合は、遺族厚生年金がそれを上回る部分のみ)、給付型奨学金などの社会政策的配慮に基づくもの
  • NISA口座内における上場株式等の譲渡益や配当等のように特定の政策目的のための措置として講じられるもの
  • 家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産(貴金属や宝石、書画、骨とうなどは、1個又は1組の価額が30万円以下のもの)に係る譲渡所得などの担税力の考慮に基づくもの
  • 当座預金の利子など少額不追求の見地によるもの

 

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