国からもらえるいろいろなお金…「住宅リフォーム補助金」から「高額療養費制度」まで、みんなが使える制度を紹介【税理士が解説】

国からもらえるいろいろなお金…「住宅リフォーム補助金」から「高額療養費制度」まで、みんなが使える制度を紹介【税理士が解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

よく調べると、国や自治体にはさまざまな補助金や助成金が用意されていることがわかります。ほかにも、確定申告で多くの人が対象となる控除もあります。活用しやすいものを中心に紹介します。FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

少子高齢化の日本、喫緊の課題は「空き家問題」の解決

生徒:国からの補助金や助成金について話題になることが増えていますが、その背景には、国がサポートすべき課題があるということだと思います。最近ではどのようなものが注目を集めていますか?

 

先生:ここ数年で注目されているのは、なんといっても空き家問題でしょう。いま、国内の空き家率は13.5%で、10軒中1軒以上が空き家になっているのですが、さらに、年間で約6万4,000戸もの新たな空き家が発生しています。このままだと、20年後には日本の空き家率は40%に達するとも予測されています。

 

生徒:空き家の増加は社会問題ですね。空き家が多い理由に、税金の仕組みが関係していると聞いたことがあります。

 

先生:そうです。たとえ空き家でも建物が建っていれば、固定資産税が6分の1に減免されるため、所有者にとっては経済的にメリットがあるからです。しかし、2015年から「空き家対策特別措置法」という法律が制定されました。この法律では、空き家が倒壊の危険性にある、もしくは衛生上有害であるなど管理不全の状態であるという判断を自治体が下した場合は、減免措置が受けられなくなります。それによって固定資産税が一気に6倍になる可能性があるのです。

 

生徒:それを防ぐには、どのような対応策があるのでしょうか。

 

先生:2015年に国土交通省が主体となり、新しい助成制度を打ち出しています。「老朽危険家屋解体撤去補助金」「老朽危険空き家解体補助金」「空き家解体補助金」など、市町村ごとに名称や条件、金額は異なりますが、空き家になりそうな住宅を改修または処分した場合には、助成金や補助金の申請ができたり、所得税から一部の費用が戻ってきたりする仕組みです。気になる方は、該当の自治体のホームページなどをご参照ください。

 

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住宅関連の制度活用で、比較的大きな金額がお得になる場合も

生徒:ほかにも住宅に関する制度はありますか?

 

先生:リフォームやエコ関連の設備に対する助成金制度があります。たとえば、「リフォーム減税」では省エネやバリアフリー基準を満たすリフォーム工事を行うと、工事費の10%が所得税から控除されます。

 

生徒:それはいいですね。古くなった家屋をリフォームすると長く住めるようになります。

 

先生:また、介護保険からも介護を目的としたリフォームへの支給があります。手すりの設置や床段差の解消、床材変更や和式便器の交換などの費用は、最大で20万円までで、費用の9割が支給されます。

 

生徒:それ以外にも、すぐ活用できそうな助成金制度はありますか?

 

先生:そうですね。自治体によっては、窓を二重窓にリフォームする際の補助金や、生ごみ処理機や太陽光発電に対応した家庭用蓄電池の設置費用など、エコに関わる設備への助成金制度があります。また、庭木や生垣の植樹に対して最大で20万円程度の助成金が出る場合もあります。東京都の品川区のようにマンションやビルの多い地域では、ベランダに置くプランターも対象になります。自分の住む市区町村ではどのような助成制度があるか、是非調べてみてください。また、助成金を受けるためには、市区町村に自分で申請する必要があります。

 

生徒:なるほど。お得な制度がたくさんありますね。

高齢者の就労を促進する「高年齢求職者給付金」

先生:給付金は、住宅に限ったものばかりではありません。例えば、就労に関連する制度もあります。

 

生徒:65歳になった私の父にも活用できる制度はありますか?

 

先生:そうですね。長い老後を生きるため、働き続けることは重要な選択肢のひとつです。たとえば、65歳以上で再就職を希望する場合には、ハローワークに相談すると高年齢求職者給付金を受け取れます。求職活動を始める時点で1日最大6,850円、50日分の一括支給があり、ハローワークから紹介された仕事以外でも返金は不要です。

 

生徒:正社員でないとだめですか?

 

先生:いいえ。パートやアルバイトでも利用できます。雇用保険からのお金を受け取るものなので、もらわないと損ですよ!

病気やケガでも安心して治療を受けられる「高額療養費制度

生徒:では、医療関係で、何か役立つものはありますか?

 

先生:重要なものに、高額療養費制度というものがあります。

 

生徒:具体的には、どのようなものでしょうか。

 

先生:医療費の家計負担が重くなりすぎるのを防ぐため、医療機関や薬局窓口で支払う医療費が1ヵ月(1日から末日まで)で上限額を超えた場合、超えた額を支給する制度です。上限額は年齢や所得によって定められていますが、いくつかの条件を満たすことで、負担を更に軽減するしくみも設けられています。70歳から74歳の方なら月4万円、所得の多い方でも月8万円強の自己負担が目安です。もし、高額な医療費がかかることが事前にわかっている場合は、国民健康保険や健康保険組合で前もって「限度額適用認定証」をもらっておけば、病院で自己負担限度額まで支払えばよく、不安も軽くなるでしょう。

 

生徒:家族の医療費や介護費用も合算される制度があると聞きましたが、どのようなものなのでしょうか?

 

先生:それは、高額医療・高額介護合算療養費制度です。家族の中で高額の医療費がかかった人や介護費用がかかった人がいる場合、その合算した医療費に対して限度額を超えた分が還付されるのです。具体的な申請は市区町村の介護保険窓口で行うことになっています。たとえば、70歳から74歳の人が国民健康保険と介護保険を利用している場合、年間56万円以上かかった分が払い戻されます。限度額は収入や年齢によって異なりますが。

 

生徒:それに加えて、所得税の控除もあるということですか?

 

先生:よく知っていますね。医療費が年間10万円を超えた場合には、確定申告をすることで所得税の控除を受けることができます。医療保険などで補われた分を除いた金額から10万円を引いた金額が所得控除されることになります。入院費だけでなく、通院時の交通費や購入した市販薬の代金、松葉杖や入れ歯の購入費なども含まれます。このような制度を利用すれば、医療費の負担を軽減できるでしょう。

子育て世代の生活支援から、人生の終わりまで様々な制度が充実

先生:ほかにも「子育てファミリー世帯居住支援制度」といって、子どものいる世帯が市区町村に転入・民間の賃貸住宅に入居する際に、引っ越し費用や家賃の一部が補助される制度があります。たとえば、東京新宿区では、引っ越し費用最大20万円までが補助されるほか、以前に住んでいた賃貸住宅の家賃よりも新居の家賃が高い場合、その差額分が最大2万5000円まで補助されます。

 

生徒:それは便利な制度ですね。

 

先生:葬儀関係では、国民健康保険や健康保険組合の被保険者が亡くなった場合、葬儀を行った家族が申請することで「埋葬料」として5万円が支給される制度があります。被保険者の家族が亡くなった場合にも「家族埋葬料」として5万円が支給されるほか、親戚や知人が葬儀を行った場合には、最大5万円まで「埋葬費」として支払われます。

 

生徒:人生に寄り添った制度が、多岐にわたって準備されているのですね。

 

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多くの人が活用できる確定申告の所得控除の例

先生:ご家族のある方はなじみ深いと思いますが、所得税や住民税に扶養控除という制度がありますね。これは、成人した子どもでも、低収入や無収入の場合、再び親の扶養家族に入れることで、所得税や住民税の減税を受けることができます。親族で収入の少ない人を扶養家族に入れることもできるので、税負担を軽減させることができるでしょう。

 

生徒:これはご存じの方も多いですよね。

 

先生:あとは、確定拠出年金の活用もおすすめですよ。自分で運用方法を指示するタイプの年金で、掛け金が所得控除の対象となります。運用リスクはありますが、所得税の負担を軽減させながら老後資金を貯めることができるので、ぜひともお勧めします。

 

生徒:確定申告するにあたって、多くの人が対象となる控除はほかにありますか?

 

先生:セルフメディケーション税制による控除があります。これは市販薬の一部が控除されます。ドラッグストアなどでセルフメディケーション税制対象医薬品を購入したときはレシートを取っておきましょう。ほかにも、最近は株式投資をする方が増えていますが、株式の取引などでも確定申告をすることで税金が戻ってくる場合もありますので、よく調べておきましょう。

 

生徒:なるほど。いろいろなものがあるのですね。知識を身につけ、お得に生活していきたいと思います。ありがとうございました。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

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