ベテラン投資家も困惑させる「バブルかもしれないが、違うかもしれない」問題…4つの見極めポイント【経済評論家が解説】

ベテラン投資家も困惑させる「バブルかもしれないが、違うかもしれない」問題…4つの見極めポイント【経済評論家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

最近では、株式投資にチャレンジする人たちが増えています。市場が上向いているときは、積極的な勝負に出たくなりますが、もしそれがバブルだとしたら、手痛い思いをするかもしれません。「バブルかどうか」をリアルタイムで知ることは不可能ですが、「バブルかもしれない」という兆候なら、ある程度つかめるかもしれません。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

「バブルか否か」の正確な判別は、時間の経過が必要

バブルと聞くと「強欲な愚か者が非合理的な取引に熱中している」といったイメージを持つ人も多いと思いますが、それは過去のバブルの話です。最近では、そうしたバブルは政府や日銀が早めに潰すので、拡大して問題が起きることは少ないのです。

 

しいていうなら、ビットコインはこの類型かもしれません。どこかの政府が積極的にバブルを潰すということはむずかしいでしょうし、バブルが崩壊してもどこかの国の経済が大混乱する可能性は小さそうですから、各国政府が「投資(投機)は自己責任」と静観しているのでしょう。

 

バブルには「だれが見てもバブルだとわかっているけれども、強欲な人々が踊っている」というケース以外に、「人々がバブルであるとは思わずに買っていて、あとからバブルだったと判明する」ケースがあり、最近のバブルは後者がほとんどです。

 

日本の平成バブルは、プラザ合意以降の円高でも輸出が激減しなかったのを見た人々が「日本は米国に勝った。日本経済は世界一だ! 世界一の国の地価や株価が高いのは当然だ!!」と舞い上がったことによって拡大したわけです。

 

あとから考えればバブルだったわけですが、当時は日本経済を動かすような賢い人々のなかにも、自宅を購入した人が大勢いました。自宅を購入するということは「いまはバブルではない」と考えていたに違いありません。バブルだと思うなら、自宅購入はせずにバブルが崩壊するのを待ってからゆっくり買えばよいのですから。

 

このように、最近のバブルは「バブルかもしれないが、違うかもしれない」と人々が考えている間に膨らんでいくので、投資家としては悩ましいわけです。

 

そこで筆者は、自分なりに「バブルの可能性が高いか否か」を見分ける4条件を設定していますので、以下にご紹介します。

筆者が考える「バブルを見極める4条件」を紹介

【第1の条件】

 

「バブルかもしれない」と心配する人に対して「今回は以前とは事情が違うから、株価が割高のように見えてもバブルではない」と主張する人が出てくること。

 

日本のバブル期には「日本は米国に勝ったのだから株価が高いのは当然だ」と言われていましたし、米国のITバブルの時には「ITは夢の技術だから関連企業の株価が高いのは当然だ」と言われていたわけです。

 

【第2の条件】

 

株価や地価が高騰してもインフレにならず、金融の緩和が続いていること。通常であれば、好景気で企業が儲かって株価が上がったとしても、景気が過熱すればインフレ懸念から金融が引き締められて、株価や地価が下がるのですが、そうでないとバブルが拡大しかねないのです。

 

平成バブルの時にはプラザ合意以降の円高によって輸入物価が値下がりし、物価全体としても落ち着いていたので金融引き締めが行われませんでした。ITバブルの時は、「インターネットによって経済が効率化するので物価が上がらない」と言われ、やはり金融緩和が続いたのです。

 

【第3の条件】

 

それまで投資に興味を示していなかった人々が大挙して押しかけて来ること。読者の配偶者が井戸端会議で隣人が儲けた話を聞いて来て「投資って簡単だな。自分もやってみよう」などと呟いていたら、読者は直ちに持株をすべて売りましょう(笑)。

 

【第4の条件】

 

第4の条件は、当事者は盛り上がっているけれども部外者は醒めた眼で眺めている、ということ。日本のバブルの時は外国人が日本の地価や株価を不思議そうに眺めていたそうです。

 

米国のITバブルの時には日本人は比較的醒めていたと記憶しています。ちなみに筆者の周辺では、米国経済の調査のために米国に出張する人が大勢いましたが、「米国に出張した人ほど米国経済を礼賛するようになるから、米国出張はやめておこう」という人も多かったと記憶しています。

 

以上の条件にあてはめてみると、現在の株価はバブルとはいえそうにありませんが、2年前の一部の米国株などは「ロビンフット」などという取引に多くの若者が群がっていたバブルだった、ということになるかもしれませんね。

仮にバブルでも「小遣いを投資する」なら面白い

以上は、あくまでも「バブルの匂い」を感じ取るためのものであり、正確にバブルか否かを判定することができないのは当然です。しかし、バブルは繰り返すので、匂いを感じ取ることができるだけでも、将来的に「バブルに踊らずにすんだ」という結果となる場合もあり得ますから、頭の片隅に置いておいていただければ幸いです。

 

反対に、仮に現状がバブルである可能性が高いとしても、小遣いの範囲で楽しむのであれば、悪くないかもしれません。もしかしたらバブルではないかもしれませんし、仮にバブルだったとしても、崩壊前に売り抜けることができれば儲かる可能性が高いからです。

 

重要なのは、バブルの匂いがする時には、大切な老後資金を投じるのではなく、小遣いの範囲内でバクチを楽しむことです。豊かな老後を夢見て老後資金を投じたら、悪くすると悲惨な老後が待っているかもしれないのですから。

 

問題は、積立投資をしている場合ですね。バブルの匂いを感じたら積立を休むとか解約するという選択肢もありますが、積立投資の場合には、そのまま淡々と続けてもいいでしょう。

 

積立投資のメリットのひとつは、「初心者は自分で判断すると間違えるので、淡々とルール通りに積み立てをする方が間違えは少ない」ということなので、バブルか否かの判断もせずに淡々と続ける、というのも選択肢です。

 

本稿は以上ですが、投資は自己責任でお願いします。なお本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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