社長招聘の求人が水面下で活発に動いています。外部からダイレクトに社長が招聘されるのは事業投資ファンドが絡んでいるケースが多く、主にはその投資先企業における「事業再生」と「後継」がテーマです。とくに最近は「後継」テーマのものが増えています。本稿では株式会社経営者JPの代表取締役・CEOの井上和幸氏が、社長採用ではどのような人が選ばれるのかについて解説します。
社長に求められるのはロジカルな思考力
某・投資ファンドの役員は、投資先企業の社長候補として面接したA氏について次のようにコメントしました。
「たしかに現場力に溢れていて、泥臭い仕事も粘り強くやってくれるとは思うのだけれど…」
A氏は当該投資先企業と同種の事業責任者経験を持ち、停滞していた事業を粘り強く再成長させた実績の持ち主でした。
その経験と手腕に注目して実施された面接では、配下の社員たちを動かす力と取引先顧客と密なコミュニケーションを図る動きについて、高い評価を得ることができました。しかし、事業の状況や顧客群の状況、戦略と実行評価などの話になると、パッと具体的な話が出てこず、形容詞や抽象的な説明ばかりになってしまったとその役員はいいます。
その結果、経営状況や打ち手の進捗について、経営陣へのレポーティングやディスカッションを行っていくのは難しいとジャッジされてしまったのです。
社長として抜擢される候補者に求められるのは、経営執行にあたってロジカルに状況を把握し、打ち手を組み立て説明できる力です。
とくにファンドが投資する先の企業における経営者の場合、投資元であるファンド側とのコミュニケーションも非常に重要です。そしてファンド側とのコミュニケーションでは、ロジカルで端的な会話のキャッチボールができるかどうかを問われることが多く、高度な論理力が求められます。
ファンド側の人たちは、コミュニケーションの部分で負荷がかかるような人を投資先企業の社長や経営陣には置きたくないのです。
株式会社 経営者JP
代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人材開発部、広報室、学び事業部企画室・インターネット推進室を経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年に社名変更、現・リクルートエグゼクティブエージェント)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。
2010年2月に株式会社 経営者JPを設立(2010年4月創業)、代表取締役社長・CEOに就任。経営者の人材・組織戦略顧問を務める。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供している。人材コンサルタントとして「経営者力」「リーダーシップ力」「キャリア力」「転職力」を劇的に高める【成功方程式】の追究と伝道をライフワークとする。 実例・実践例から導き出された公式を、論理的に分かりやすく伝えながら、クライアントである企業・個人の個々の状況を的確に捉えた、スピーディなコンサルティング提供力に定評がある。自ら2万名超の経営者・経営幹部と対面してきた実績・実体験を持つ。
著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(共著、東洋経済新報社)、『あたりまえだけどなかなかできない 係長・主任のルール』(明日香出版社)、『プロフェッショナルリーダーの教科書』(共著、東洋経済新報社)、『人物鑑定法 あの人も、丸見えになる』(経済界)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。取材・コメント・出演実績として、「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「産経新聞」「日刊工業新聞」「週刊東洋経済」「日経ビジネス」「GQ JAPAN」「週刊現代」「プレジデント」「AERA」「月刊BOSS」「CIRCUS」「日経ビジネスオンライン」「ITmediaエグゼクティブ」「BOSS online」、フジテレビ「ホンマでっか?!TV」「キカナイトF」、その他業界誌等多数。
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