(※写真はイメージです/PIXTA)

勤続年数が長く、地位や給料が高い「古参社員」。長年会社に貢献してくれていても、近頃は会社の成長についていけず、地位と給料に見合っていない……このようなケースの対処に悩む経営者は少なくありません。そこで本記事では、古参社員のパターン別に、それぞれの対処法について解説します。

古参社員の対応に悩むはめになる根本原因

社長がこのような古参社員の対応に悩む根本的な原因はなにかというと、人を評価する仕組みが欠けているからです。

 

ここでいう仕組みというのは、基準と手順のことです。要するに、人を評価する時の基準がないということ、そして人を評価するための手順がないということです。この仕組みが欠けているために、こういった社員に対応することができないのです。

 

古参社員対策の原則

この仕組みをつくるために必要なものが評価の原則です。人に対して評価をして、その人の貢献に報いる方法には、地位とお金の2つの方法があります。どういう場合に地位で報いるのか、あるいはお金で報いるのかという原則を社長の頭の中、もしくは会社の仕組みとしてつくっておくことが非常に大切になります。

 

①人徳がある古参社員には地位で報いる

人間味があって、非常に人ができている人には、「頑張ってくれたので、ポジションを上げましょう」ということで、課長から部長に、部長から事業部長にするという感じで地位を上げていくことで報います。当事者は自尊心が高まります。

 

人徳があっても能力がない場合には、その人の周りに優れた若手や次世代のリーダークラスを置いてあげれば仕事は回るので、特に問題はありません。むしろ、人徳がある人であれば、若手の活用などには長けているので、いいチームをつくってくれるわけです。

 

②実績を出した古参社員にはお金で報いる

例えば売上を上げたとか、プロジェクトを成功させた人には、「頑張ってくれたので、給与を上げましょう、ボーナスを出しましょう」とお金で報いてあげます。実績を上げたからといって、人徳のない人に地位を上げてしまうと組織が崩壊してしまうため、地位で報いるということはしません。

 

よく言われるように、実績がある、要するに能力があって、かつ会社の方向性と合わない人や人徳がない人が組織の中で一番困るのです。なぜかというと、そういう人は会社の悪口を言ったり、社員に当たり散らしたり、自分の権力を使ってコントロールしようとしたりすることが多いからです。そういう意味で、実績があるからといって、人徳がない人に地位を与えるのは非常に危険なのです。

クビや退職を迫るだけではない…古参社員への具体的な対処法

社長としては、問題のある古参社員にはできれば辞めてほしいわけですが、日本の場合、それほど簡単に首を切ることはできません。これまでの貢献には感謝はするけれども、将来を見据えた場合、このままでは困るのです。そのときにどうするか、具体例を挙げて説明していきます。

 

ケース①会社の成長についていけなくなった古参社員

これは先術のとおり、その人に人徳があるかどうかがポイントになります。

 

人徳がない場合

人徳がない、つまり社員からの尊敬がない人の地位を上げるわけにはいきません。これから会社が成長していこうというときに、そういう人の地位を上げてしまうと、非常にリスクが大きいのです。

 

ですから、これはお金で報いるしかありません。たとえばボーナスを出す、退職金を上積みして辞職を促す、あるいは上場を目指している会社であればストックオプションを渡すということも考えられます。

 

成果を出せなくなり、人徳もない場合

また、成果を出していないし、人徳もないために、給料も地位も上がらない人が会社にいると非常に悪影響が出てしまいます。こういう場合には、本人と交渉し業務委託契約にするというやりかたが考えられます。こうしてほかの社員の報酬体系とは切り離してお金を提供するというやり方です。

 

ほとんど会社の社員と同じように働いているけれども、業務委託ですから、その人の報酬は会社の評価制度に則らせる必要がありません。そういうやり方が成功している会社もあります。

 

人徳がある場合

一方、人徳はあるけれども能力がついていかない人はどうするかというと、こういう人を辞めさせるのはもったいないですし、社長としても言いづらいわけです。そういう場合には、その人がきちんと活躍できるような、優れたチームを周りにつくってあげるということが考えられます。このようにして、組織としてパフォーマンスを保つことができるのです。

 

会社の成長についていけなくなった創業メンバーに対して、お金でも地位でも報いないということになると、会社の雰囲気的にあまりいい結果にならないことが多いのです。「あの人って前からいるけど、全然報われてないよね」とほかの社員も感じてしまいます。ですから、このような方法で報いてあげるということが大切になるわけです。

 

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