(※写真はイメージです/PIXTA)

Twitter社の青い鳥からXへのリブランディングが話題です。日本でもリブランディングを遂行する企業は多いなか、そうしたプロジェクトは成功しているのでしょうか。――残念ながら日本企業のリブランディングは間違いだらけと、ブランディングストラテジストの戸田成人氏はいいます。一体どこが間違いなのでしょうか。今回は、日本企業のリブランディングの現状と課題についてみていきます。

間違いだらけのリブランディング

日本で取り入れられているリブランディングは、残念ながら間違いだらけです。厳しい言い方ですが、一般的にリブランディングとして定着しているのは、広告の延長線上での印象ピボットや、デザインの変更に留まってしまっています。

 

それらは、リブランディングにとっては氷山の水面の上の部分の話。リブランドの1番重要な部分は、その下層部に存在するあらゆる複合的な要素をひとつずつ改善していくことなのです。

 

(出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム)
[図表1]リブランディングのイメージ図 (出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム)

リブランディングの「3つの壁」

1.縦割りの壁

「つくって、売る」ということが前提になっている日本のメーカーの組織は、高度経済成長期に活躍した、大量生産型のモデルであることが多いと感じます。もちろん、まだまだその構造で売り上げを伸ばすこともできますし、特にマスな商品においては、効率のいい進行で、スケールも見込める有効な構造であることは間違いありません。

 

しかし一方で、やはり部門最適の思考が働き、一貫した新しい施策は進みにくいのが悩ましいところ。事業部は横糸、チーム活動は縦糸。横糸と縦糸が組み合わされば、繊維と同じで会社は強くなります。

 

(出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム)
[図表2]強いブランドのイメージ構造 (出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム)

 

2.思考と習慣の壁

スキル重視、年功序列、内製主義という3つの大きな論題があります。それぞれにもちろん賛否はあり、一概に否定すべきものではありません。しかし一方で、日本の停滞は、グローバルに見ると、企業やブランドにも明らかな差として現れてきています。これは、いままでの日本経済で通用してきたことが、現在の状態に合わなくなってきているなによりの証拠であることは間違いありません。

 

リブランディングを進めていくうえでは、「自立型人材」を育て、そしてそれが表に出ていくような状況を作る必要があります。本来、リブランディングの第一歩は、ここから始まるはず。スキル重視で急成長して来た事業や部門は、アプリケーションを作るのは上手だが、肝心のOSが弱い、なんてことがあちこちで起こっています。変化への対応が遅れるのはこのため。重要なのはOSが鍛え抜かれた人材。スキルだけではイノベーションは起こりません。すなわちリブランディングは推進しにくいのです。

 

年功序列では、そのせっかく育った人材が埋もれてしまう可能性があります。つまり、よいブランディングプロジェクトが、若手の力で成立しにくい。

 

そして、内製主義ですが、特に上層部の方々は、コンサルティングや、プロジェクトのアウトソーシングを恐れる傾向があります。これは、かつての「言うだけコンサルティング」の時代の悪しきイメージが残っている経営者が多く、よい思い出がないことにも起因します。結果として、会社のなかで考えなさい、となりやすい。

 

もちろん社内で解決できることはすべきです。しかし、日本中に存在するいろんな分野のプロの力を結集することは、短期的にはコスト(費用)がかかっても、長期的には必ずインベスト(投資)に変わっていくはずなのです。

 

(出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム)
[図表3]内製型戦略と共創型戦略のイメージ図 (出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム)

 

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