(※写真はイメージです/PIXTA)

「ずっと専業主婦だったのだから、50歳近くになって共働きは難しい……」と思っていませんか。しかし、専業主婦の家庭は、経済的な面で想像しているよりもはるかに損をしていることが多いと、経済コラムニストの大江英樹氏はいいます。本連載では、同氏の著書『50歳からやってはいけないお金のこと』から、共働きの重要性について、一部抜粋してご紹介します。

専業主婦は「2億円」損をする

“長く働く”ということは人生において色んな面で非常に重要なことです。加えてこれと同じぐらい、あるいはそれ以上に重要性が高いのが、パートナーがいる場合の“共働き”であることも疑う余地がないと思います。

 

私はいつも主張しているのですが、夫婦共働きには、経済的には2つの大きなメリットがあります。

 

まずは生涯賃金の違いです。労働政策研究・研修機構が2022年に出した統計によれば、大卒で正規社員として定年まで働いた場合の総賃金は約2億6,000万円、女性では約2億1,000万円となっています[図表1]。

 

出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2022 (労働統計加工指標集)」
[図表1]生涯賃金(60歳まで・退職金を含めない・2020年) 出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2022 (労働統計加工指標集)」

 

※学校を卒業しただちに就職し、60 歳で退職するまでフルタイムの正社員を続ける場合(同一企業継続就業とは限らない)。

 

つまり、夫婦がともに正社員で働いた場合と、女性がその間ずっと専業主婦であった場合とを比べると、2億円あまりの差が生じるのです。

 

作家の橘玲氏の著作に『専業主婦は2億円損をする』(マガジンハウス)というタイトルの本がありますが、まさにそのタイトルどおりの数字です。

 

共働きをすると年金額は「1,600万円」増える

また、生涯賃金だけでなく、夫婦ともに厚生年金に加入して働いた場合の年金受給額も、専業主婦の場合に比べると非常に大きな差があります。

 

厚生労働省が発表している2023年度のモデル年金額は月額22万4,482円です。仮に65歳から90歳までに受給する年金額を累計すると、その累計額はおよそ6,734万円です。

 

では、共働きの場合はどうでしょう。

 

前述したように、残念ながら現在でも男女の賃金差は存在します。2021年12月に発表された「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると老齢年金受給額の一人あたり平均額は男性で月額約17万円、女性の場合は約10万9,000円が平均となっていますので、合計すると約27万9,000円です。

 

先ほどと同じく、この金額で65歳から90歳まで受給したとすればおよそ8,370万円となりますので、専業主婦世帯の場合の金額よりも1,600万円ほど増えることになります。ここでもやはり“共働き”は最強なのです。

 

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50歳からやってはいけないお金のこと

50歳からやってはいけないお金のこと

大江 英樹

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