33歳会社員の夫逝去で、幼子2人抱えた専業主婦の妻が受け取る「遺族年金額」…「生命保険金」はいくら備えておく?【経済コラムニストが解説】

33歳会社員の夫逝去で、幼子2人抱えた専業主婦の妻が受け取る「遺族年金額」…「生命保険金」はいくら備えておく?【経済コラムニストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

強制加入で国民みんながお金を少しずつ出し合うように義務づけられ、成り立っている「社会保険」。もしものときの備えとして民間の保険で社会保険で賄え切れない部分を補填する際にも、社会保険で自分がいくら受け取れるのかを知っておかなければ、無駄な保険に加入してしまう可能性があります。本連載では、経済コラムニストとして活躍する大江英樹氏の著書『50歳からやってはいけないお金のこと』から、社会保険の知識について、一部抜粋してご紹介します。

一番大事な保険は「社会保険」

不要な保険は人生で最大の無駄です。ここで間違えてはいけないのは、あくまでも不要な保険ということです。必要な保険は入っておく必要があるし、入るべきです。

 

保険に入らなくてはいけない場合というのは、どういうケースでしょう。それは、「めったに起こらないこと」。でも、「もし起こったら自分ではまかなえないこと」。そして、「それがいつ起きるかわからないこと」です。一番わかりやすい例としては自動車保険の対人賠償があります。

 

他にも、やはり入っておいた方がいい保険はあります。例えば生命保険は、妻が専業主婦で子供がまだ小さい場合、夫が何らかの原因で急に亡くると、もし十分な蓄えがなければすぐに生活に困ってしまいますから、一定期間の生活をまかなうために必要でしょう。

 

また、病気で長い間会社を休むような事態が起こった場合、所得補償の役割を持つ保険も必要な場合があります。あるいは、損害保険で言えば、家を新築した時には火災保険に入っておいた方がいいでしょう。この他にも必要な保険というのはあると思います。

 

大事な保険というのはいろいろあるものの、全てに最優先する最も大事な保険があります。それは「社会保険」です。

「社会保険」とは?

社会保険というのはよく使われる単語ではありますが、一般的にはこの言葉を聞いてもあまりピンと来ない人が多いかもしれません。社会保険とは、万が一の不幸な出来事に備えるための公的な保険制度のことです。具体的には、

 

1.医療保険

2.年金保険

3.介護保険

4.雇用保険

5.労災保険

 

の5つを称しています。これらの保険は、それぞれ、

 

1.病気や怪我をした場合

2.高齢になって収入がなくなった場合

3.高齢に伴って介護の必要が出てきた場合

4.失業して収入が途絶えた場合

5.労働災害による病気や怪我

 

といったリスクに備えるための制度です。

 

ただ、これらは広い意味での社会保険として認識されてはいますが、通常、多くの会社員にとって社会保険というのは1.の医療保険(健康保険)と2.の年金保険(厚生年金保険)のことを指します。

 

間違えやすいのは社会保険を社会保障と混同してしまうことです。社会保障は社会保険よりも広い概念です。例えば社会保障の一つである「社会福祉」という制度は、障害者、母子家庭など、さまざまなハンディキャップを負っている人々が安心して社会生活を営めるよう、公的な支援をおこなう制度です。また、「生活保護」のように生活に困窮する人々に対して最低限度の生活を保障し、自立を助けようとする制度も社会保障の中に含まれます。

 

もちろん、社会保険のように、人生において起こる不幸な出来事をカバーするための制度も社会保障の中に含まれます。

 

社会保険が他の社会保障と大きく違うのは、強制加入でみんながお金を少しずつ出し合うように義務づけられていることです。そして不幸な出来事に遭ってしまった人にお金を回してあげる。まさに相互扶助の仕組みですから、保険そのものです。

なぜ「社会保険」が一番大事なのか?

この答えをひと言で言えば、俗な言葉ですが、「お得だから」です。

 

通常、保険という仕組みは大数の法則によって数理計算をおこない、起きる確率とその費用を考えて保険料が決まるわけですが、民間の保険会社は営利企業ですから、その保険料には当然さまざまな運営費用や自社の利益が上乗せされています。

 

これに対して、社会保険を運営しているのは国です。利益をあげるためにおこなっている事業ではありません。民間の保険会社が運営する保険よりも有利になるのは当たり前です。

 

例えば民間の保険会社で販売されている医療保険は歳をとってから加入するほど保険料が高くなります。これは歳をとると病気のリスクが高まるから当然です。「だから若くて保険料の安いうちから入っておきましょう」と勧められることがありますが、公的な医療保険の場合、保険料負担の多寡は年齢ではなく、報酬によって決まります。

 

一方、給付について言えば、実際にかかった治療費のうち、現役世代は自己負担の割合が3割ですが、70歳以上は原則2割、そして75歳以上の後期高齢者になるとその負担は1割 です。歳をとって病気になるケースが増えるにもかかわらず自分が負担する治療費が安くなるわけですから、言わば民間の医療保険とは正反対です。

 

その理由は、前述したように運営する主体が利益をあげることを目的としていないこと、 そして、国の社会保険制度には税金が投入されているからです。社会保険料で全てまかなえればいいのですが、歳をとって収入が激減した人も同じような治療が受けられるよう保障するために税金が使われているということです。

 

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50歳からやってはいけないお金のこと

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大江 英樹

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