日本の看護師の平均年収約508万円だが…。カナダの看護師は「日本の勤務医並み」の給与水準?福利厚生も充実

日本の看護師の平均年収約508万円だが…。カナダの看護師は「日本の勤務医並み」の給与水準?福利厚生も充実
(※写真はイメージです/PIXTA)

看護師の給与について知っていますか? 厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は508万1,300円となっています。海外では、どのような待遇となっているのでしょうか。カナダ・バンクーバー圏の大学病院で14年以上働き、日本で看護師をしていた経験もある日本人看護師に、カナダのKM Pacific Investments Inc.代表取締役の枡田耕治氏がインタビュー。カナダで働く看護師の給与や待遇について深堀りし、同時に日本の看護師との比較も交えてお届けします。

カナダの看護師の給与形態

カナダの看護師の待遇は、福利厚生が充実しており、給料の面でも非常に魅力的です。ドクターよりは稼ぎは劣りますが、日本の勤務医くらいの給与水準になります。例えば、私が働いているブリティッシュコロンビア州では、初任給で約700万円程度もらえます。日本看護協会の「2022年病院看護実態調査報告書」によると、日本の初任給は約230万円から300万円程度です。

 

カナダの看護師は基本的に時給制で働いており、フルタイム勤務の場合、4日働いて5日休みというサイクルで、年収は時給と働いた日数によって計算されます。

 

カナダでは、看護師の組合が行政と5年ごとに給与見直しを行い、福利厚生も改善されています。現在も報酬額が決まる段階にあり、コロナの影響でこれまで生活が困難になっていたことも考慮し、賃上げ交渉が行われています。組合のメンバーも元々は看護師であり、現在も看護師のために尽力しています。

 

昇給は経験年数に応じて10段階で行われ、管理職になると役職報酬もあります。ただし、ボーナスは存在しません。代わりに、病院で働かない日にも給料が支給される制度があります。月に1回程度、働いていない日でも給料が支給される日があります。これは有給休暇とは異なる制度です。看護師の勤務先は、地域のクリニックや総合病院などさまざまですが、総合病院で働く看護師の給料の方が若干高い印象はあります。

 

「看護」の仕事だけに集中できる

職務内容も日本とは大きく異なります。日本だと患者の輸送や採血、掃除など、看護業務以外のこともやらなければならないのですが、カナダではその必要は一切ありません。これらの業務は専門のスタッフが担当しており、看護師は「看護」の仕事だけに集中できます。

 

また、勤務人数の割り振りも異なります。カナダでは日勤と夜勤があり、どちらも同じ人数です。日本では日勤が多く夜勤が少ない傾向にあると思います。

 

さらに、こちらに来る前から聞いてはいたのですが、4日働いて5日休みという勤務形態がしっかりと実施されています。1日の勤務時間は12時間です。有給休暇は1年で大体6週間ほどあり、ブリティッシュコロンビア州の労働法では、勤続年数に応じて有給休暇の日数が増えます。私の場合は現在、6週間の有給休暇を取得しています。

 

30年以上働いた人の場合は2ヵ月以上の有給休暇があります。また、ブリティッシュコロンビア州の場合ですが、福利厚生に無料で利用できるマッサージも含まれており、私も夜勤の後は体を整えるために必ずマッサージに行っています。

次ページカナダの看護師の働く環境はいかにして作られたか

※看護師の募集要件や資格の更新方法に関しては常時更新されていますので、最新の情報については必ず専門家にご相談ください。

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