「ポジショナルプレー×正対理論」でようやく使える理論になる
大事なことなので、もう1度整理しましょう。
------------------------------------------------
(1)ボール保持者は敵ゴールに顔を向けるのではなく、ターゲットとなる相手に対して正対してボールを持つ。
(2)「Y字のポイント」に受け手が立つ(もしくは受け手がタイミング良くそこに現れる)。
(3)ボール保持者は「後出しジャンケン」的にマークがついていない受け手にパスを出す。どちらもついている場合は、裏へのパスや迂回のパス、バックパスなど、(1)(2)によって生まれる最適な選択肢を選ぶ。
------------------------------------------------
「5レーン」を表面的に真似しても、体の向きという概念が抜け落ちていると、パスを出した先で潰されるのがオチです。ポジショナルプレーに「正対理論」を掛け合わせて、初めて使える理論になります。
もちろん意識してやっと正対するようなスピード感では、試合では通用しないでしょう。無意識にオートマティックに正対できるようになる必要があります。
バルセロナの下部組織では、子供の頃から「ボールを持ったらへそを相手に向ける」ということを教えられるそうです。
日本も育成のときから「正対理論」に取り組めば、日本サッカーの大きなアドバンテージになることは間違いありません。
●守備戦術の進化により、「5レーン理論」は不都合が起きやすくなった。
●ボール保持者が相手に体を向ける「正対理論」はボール保持に不可欠。
●受け手は「Y字のポイント」に立っておく、もしくはタイミング良く現れると、ポゼッションとボールの前進の確率が上昇する。
著者:Leo the football
日本一のチャンネル登録者数を誇るサッカー戦術分析YouTuber(2023年8月時点で登録者数23万人)。日本代表やプレミアリーグを中心とした欧州サッカーリーグのリアルタイムかつ上質な試合分析が、目の肥えたサッカーファンたちから人気を博す。プロ選手キャリアを経ずして独自の合理的な戦術学を築き上げ、自身で立ち上げた東京都社会人サッカーチーム「シュワーボ東京」の代表兼監督を務める。
構成:木崎 伸也
「Number」など多数のサッカー雑誌・書籍にて執筆し、2022年カタールW杯では日本代表を最前線で取材。著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『ナーゲルスマン流52の原則』(ソル・メディア)のほか、サッカー代理人をテーマにした漫画『フットボールアルケミスト』(白泉社)の原作を担当。