(※写真はイメージです/PIXTA)

どうやら年金だけでは老後、暮らすことはできないらしい……そんな事実が広く知られ、老後を見据えて資産形成に取り組む人が増えています。一方で実は、日本人の半数は年金だけで暮らしていける、という統計データも。本連載では、経済コラムニストとして活躍する大江英樹氏の著書『50歳からやってはいけないお金のこと』から、老後のお金の知識について、一部抜粋してご紹介します。

“見える化”の効用

今までお話ししてきたのは言わばモデル、平均的な数値です。ですが平均値を見てもあまり意味はありません。実際に自分の場合はどうなのかということを明確にしないと意味がないのです。つまり“自分のお金の見える化”が大事だということです。

 

では、どうすれば見える化ができるかというと、まず公的年金については、毎年送られてくる「ねんきん定期便」や、登録すればいつでもネットで見ることができる「ねんきんネット」で容易に把握することができます。

 

さらに2022年4月からは試験版として「公的年金シミュレーター」というのができましたので、これまで以上に把握しやすくなりました。

 

企業年金については、会社の人事部とか総務部に尋ねることになるでしょう。昔と違って最近は企業年金の制度や仕組みについて社員に公開している企業が増えてきていますし、恐らく聞けば教えてくれるはずです。したがって、入ってくるお金はそれで把握することができます。

 

では、出ていくお金はどうでしょう? これこそ人によって全く違いますので、これだけは自分で家計簿をつけるなりして把握するしかありません。私も定年になる2年前から自分で家計簿をつけ始め、定年後に実際にどれぐらいお金がかかるのかがはっきりとわかったことでかなり安心感を得ることができました。

 

冒頭の話に戻りますが、“見える化”の最大の効用は不安がやわらぐことです。世間には、老後不安を商材にして、質の悪い金融商品を売りつけようとする金融機関もあります。

 

もちろん公的年金や企業年金以外に自分で蓄えを持ったり投資をしたりして資産形成することはいいことですが、そのためにまずおこなうべきなのは、将来にわたる自分と家族の生活に関する収支を把握することだということを忘れてはいけません。

 

 

大江 英樹

株式会社オフィス・リベルタス

取締役

 

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50歳からやってはいけないお金のこと

50歳からやってはいけないお金のこと

大江 英樹

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