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連帯保証人に勝手にさせられてしまい、身に覚えのない内容が書かれた請求書が届いた場合、対応の仕方を誤ると、借金の返済義務を負ってしまうことがあります。本稿では、連帯保証人に勝手にさせられたときの返済義務の有無や対処法、勝手にサインした人が問われる罪の種類や量刑について、岡山県司法書士会の立山慶之司法書士監修のもと解説します。

勝手に連帯保証契約にサインした人はどんな罪になる?

勝手に連帯保証人にさせられた人にとっては迷惑な話ですが、勝手にサインした側は迷惑をかけた程度の話では済まされません。文書の偽造は刑法で規定されている犯罪行為であり、懲役刑を科される可能性があります。

有印私文書偽造罪や有印私文書行使罪なら3月以上5年以下の懲役

勝手に他人の印鑑を押して契約書を偽造した場合や、偽造した契約書を使った場合、有印私文書偽造罪や有印私文書行使罪に問われる可能性があります。有印私文書偽造罪・有印私文書行使罪の刑事罰は、3月以上5年以下の懲役です。

 

押印がない私文書を偽造する無印私文書偽造罪・無印私文書行使罪の場合は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金ですが、有印私文書偽造罪・有印私文書行使罪は量刑が重くなっています。

親や兄弟、夫、妻でも罪になる

親や兄弟、夫、妻など、連帯保証契約に勝手にサインした人が家族であっても、有印私文書偽造罪や有印私文書行使罪になります。家族だからといって、罪に問われないわけではありません。

 

刑法では、窃盗や横領など親族間における一部の犯罪の刑を免除する規定がありますが、免除になるのは犯罪の当事者が親族の場合です。連帯保証契約書の偽造での被害者は契約の相手方、つまり債権者なので、親族間の犯罪という扱いにはならず刑は免除されません。

勝手に連帯保証人にされたら弁護士や司法書士に相談すべき理由

勝手に連帯保証人にされた場合、一般の方が自分で対応することはおすすめできません。

 

債権者との交渉や裁判対応では専門的な知識が必要であり、専門知識のない方がよく分からないまま行動すると、うっかり追認と見なされる行動をして支払義務が生じる場合があるからです。

 

弁護士や司法書士に依頼するメリットとしては、次のような点が挙げられます。

 

・追認と見なされて返済義務が生じることがないよう、専門家の助言を受けながら適切に対処できる

 

・債権者への連絡や連帯保証契約内容の確認など一連の手続きをすべて任せられる

 

・万が一連帯保証人になってしまい返済が必要になった場合、返済計画の作成や債務整理の検討について相談できる

 

弁護士や司法書士に対応を任せれば、自分で債権者と直接交渉せずに済んで負担を減らせる点がメリットです。

他人が勝手にサインすることは許されることではない!

身に覚えのない請求が来たときには請求内容をよく確認した上で、勝手に連帯保証人にされたことを債権者に伝えることになります。

 

親や兄弟、友人など、他人が勝手にサインしていた場合、連帯保証人になることを本人が同意していない以上は原則として無効ですし、勝手にサインすることは有印私文書偽造罪や有印私文書行使罪にあたる犯罪行為なので許されるものではありません。

 

ただし、債権者からの求めに応じて1円でも払ってしまうと、自分が連帯保証人であることを認めた(追認した)ことになり、全額の返済義務が生じてしまう可能性があるので注意してください。借金に関する対応では専門的な知識が必要になり、慎重な対応が求められますので、司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

岡山県司法書士会 司法書士

立山 慶之

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