1.貸出動向:堅調な伸びが継続、貸出金利は伸び悩み
(貸出残高)
7月10日に発表された貸出・預金動向(速報)によると、6月の銀行貸出(平均残高)の伸び率は前年比3.48%と約2年ぶりの高い伸びを示した前月(同3.74%)からやや低下した(図表1)。
ただし、低下については比較対象である前年6月に伸び率が大きく上昇した反動が出た面があるほか、伸び率自体は高い水準を維持している。業態別では、地銀(第2地銀を含む)の伸びが同3.56%(前月は3.54%)とほぼ横ばいであったが、都銀の伸びが前年比3.38%(前月は3.99%)と大きく低下している(図表2)。既述の通り、前年6月に伸びが急伸した反動が出た。
経済活動再開に伴う運転・設備資金需要のほか、原材料・燃料価格高騰(による仕入れコスト増)に伴う資金需要やM&A向け、不動産向けの資金需要などが複合的に寄与する形で、貸出の堅調な伸びが続いている。
(貸出金利)
なお、5月の新規貸出金利については、短期(一年未満)が0.316%(前月は0.429%)、長期(1年以上)が0.857%(前月は0.914%)とともにやや低下した。
当統計は月々の振れが大きいため、移動平均でトレンドを見ると(図表5)、昨年末から今年の年初にかけて、日銀による長期金利の許容上限引き上げを受けてやや水準を切り上げた長期貸出金利が伸び悩んでいる。この間、金融緩和長期化観測によって国債利回りが低下したほか、銀行間の厳しい競争が続いていることが影響しているとみられる。
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