貸出・マネタリー統計(23年6月)~銀行貸出は堅調な伸びを継続、貸出金利は伸び悩み

貸出・マネタリー統計(23年6月)~銀行貸出は堅調な伸びを継続、貸出金利は伸び悩み
(写真はイメージです/PIXTA)

22年3月には87兆円に達した「コロナオペ」の残高の回収が完了したことなどが影響し、マネタリーベースは前月比5.7兆円減少しました。マネーストックの伸び率をみると、NISAなどの積み立て投資の普及や日本株の上昇期待などを受けて、投資信託への資金流入が大きく伸びています。本稿では、ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏が、貸し出し動向・マネタリーベース・マネーストックの概況について解説します。

1.貸出動向:堅調な伸びが継続、貸出金利は伸び悩み

(貸出残高)

7月10日に発表された貸出・預金動向(速報)によると、6月の銀行貸出(平均残高)の伸び率は前年比3.48%と約2年ぶりの高い伸びを示した前月(同3.74%)からやや低下した(図表1)。

 

ただし、低下については比較対象である前年6月に伸び率が大きく上昇した反動が出た面があるほか、伸び率自体は高い水準を維持している。業態別では、地銀(第2地銀を含む)の伸びが同3.56%(前月は3.54%)とほぼ横ばいであったが、都銀の伸びが前年比3.38%(前月は3.99%)と大きく低下している(図表2)。既述の通り、前年6月に伸びが急伸した反動が出た。

 

経済活動再開に伴う運転・設備資金需要のほか、原材料・燃料価格高騰(による仕入れコスト増)に伴う資金需要やM&A向け、不動産向けの資金需要などが複合的に寄与する形で、貸出の堅調な伸びが続いている。

 

 

(貸出金利)

なお、5月の新規貸出金利については、短期(一年未満)が0.316%(前月は0.429%)、長期(1年以上)が0.857%(前月は0.914%)とともにやや低下した。

当統計は月々の振れが大きいため、移動平均でトレンドを見ると(図表5)、昨年末から今年の年初にかけて、日銀による長期金利の許容上限引き上げを受けてやや水準を切り上げた長期貸出金利が伸び悩んでいる。この間、金融緩和長期化観測によって国債利回りが低下したほか、銀行間の厳しい競争が続いていることが影響しているとみられる。

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年7月11日に公開したレポートを転載したものです。

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