2.マネタリーベース:国債買入れが平時のレベルに縮小、コロナオペの回収が完了
7月4日に発表された6月のマネタリーベースによると、日銀による資金供給量(日銀当座預金+市中に流通する紙幣・貨幣)を示すマネタリーベース(平残)の伸び率は前年比▲1.0%となり、前月(同▲1.1%)からマイナス幅が若干縮小した(図表6)。マイナス幅の縮小は2カ月連続となる。
マイナス幅縮小の主因はマネタリーベースの約7割を占める日銀当座預金のマイナス幅縮小(前月▲1.6%→当月▲1.4%)である。前年の6月にコロナオペの回収が進んだことなどからマネタリーベースの伸びが大きく鈍化した反動が表れたという面が大きく、増勢自体は鈍化している。
実際、6月のマネタリーベースは、前月から5.7兆円(平残)減少しているほか、季節性を除外した季節調整済み系列(平残)で見ても、前月比2.1兆円減となっている(図表9)。
金利上昇圧力が一服したことで、資金供給要因となる長期国債買入れ額が5.8兆円と平時のレベル(緩和縮小観測が台頭していなかった昨年年初までは6兆円前後で推移)に戻ったほか、コロナオペの回収が進んだことがマネタリーベースを押し下げた(図表7)。ピークの22年3月には87兆円に達したコロナオペの残高は、今回ゼロとなり、全ての回収が終わっている。
なお、その他の内訳では、貨幣流通高の伸びが前年比▲3.0%(前月は▲3.1%)とマイナス幅を若干縮小している一方で、日銀券発行高の伸びは同1.1%(前月は1.3%)と引き続き低下している(図表6)。
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