貸出・マネタリー統計(23年6月)~銀行貸出は堅調な伸びを継続、貸出金利は伸び悩み

貸出・マネタリー統計(23年6月)~銀行貸出は堅調な伸びを継続、貸出金利は伸び悩み
(写真はイメージです/PIXTA)

22年3月には87兆円に達した「コロナオペ」の残高の回収が完了したことなどが影響し、マネタリーベースは前月比5.7兆円減少しました。マネーストックの伸び率をみると、NISAなどの積み立て投資の普及や日本株の上昇期待などを受けて、投資信託への資金流入が大きく伸びています。本稿では、ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏が、貸し出し動向・マネタリーベース・マネーストックの概況について解説します。

2.マネタリーベース:国債買入れが平時のレベルに縮小、コロナオペの回収が完了

7月4日に発表された6月のマネタリーベースによると、日銀による資金供給量(日銀当座預金+市中に流通する紙幣・貨幣)を示すマネタリーベース(平残)の伸び率は前年比▲1.0%となり、前月(同▲1.1%)からマイナス幅が若干縮小した(図表6)。マイナス幅の縮小は2カ月連続となる。

 

マイナス幅縮小の主因はマネタリーベースの約7割を占める日銀当座預金のマイナス幅縮小(前月▲1.6%→当月▲1.4%)である。前年の6月にコロナオペの回収が進んだことなどからマネタリーベースの伸びが大きく鈍化した反動が表れたという面が大きく、増勢自体は鈍化している。

 

実際、6月のマネタリーベースは、前月から5.7兆円(平残)減少しているほか、季節性を除外した季節調整済み系列(平残)で見ても、前月比2.1兆円減となっている(図表9)。

 

金利上昇圧力が一服したことで、資金供給要因となる長期国債買入れ額が5.8兆円と平時のレベル(緩和縮小観測が台頭していなかった昨年年初までは6兆円前後で推移)に戻ったほか、コロナオペの回収が進んだことがマネタリーベースを押し下げた(図表7)。ピークの22年3月には87兆円に達したコロナオペの残高は、今回ゼロとなり、全ての回収が終わっている。

 

なお、その他の内訳では、貨幣流通高の伸びが前年比▲3.0%(前月は▲3.1%)とマイナス幅を若干縮小している一方で、日銀券発行高の伸びは同1.1%(前月は1.3%)と引き続き低下している(図表6)。

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年7月11日に公開したレポートを転載したものです。

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