◆「円高」があまりに進みすぎると損失が発生するリスクがある
まず、最も重要なのが、債券の償還時に、購入時と比べてあまりに「円高」になっていた場合、損失が発生するリスクがあります。
そこで、重要なのは、為替相場の変動による損益分岐点、つまり、どこまで円高が進めば損失が発生するかを見極めることです。
たとえば、以下の内容のアメリカのゼロクーポン債があったとします。
・額面1万ドル
・購入価格5,800ドル
・償還期間17年
これを1ドル138円で購入すると、日本円での購入金額は138円×5,800米ドル=800,400円です。
17年後、1万ドルが償還されるときになって、1万ドルが日本円に換算して800,400円を下回らなければ、損失が発生しないことになります。
したがって、損益分岐点は1ドル=80.04円ということになります。
なお、ゼロクーポン債に投資する場合は、アメリカをはじめとして、通貨が安定している国を選ぶことをおすすめします。たとえば、新興国のゼロクーポン債は、利回りが高く設定されていても、通貨の安定性が低いので、要注意です。
◆償還時の差益に約20%の税金がかかる
次に、償還時の差益は税制上、「上場株式等にかかる譲渡所得」にあたるので、20.315%の所得税が分離課税でかかります。
なお、株式の場合は売却益が非課税になる「NISA」のような税制優遇の制度がありますが、ゼロクーポン債にはそのような制度がありません。
◆途中で売却すると損をする可能性がある
最後に、債券は、途中で売却すると損をする可能性があります。
どういうことか、改めて【図表】をご覧ください。
債券の価格は、購入後、償還時に向けて変動し、償還時に額面の価格になります。もし、期間の途中、額面価格が購入価格を下回っているタイミングで売却すると、損失が発生してしまうのです。
ゼロクーポン債は、購入して償還期間まで保有し続けることで、比較的低リスクで、お金を大きく増やせる可能性が高いものです。もしも、当面使い道がないお金があって、それを将来の住宅資金、子どもの学費、老後資金等のためになんらかの方法で運用したいのであれば、銀行の定期預金でもなく、株式でもない選択肢の一つとして、検討してみることをおすすめします。
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