「ひとり親控除」とは
ひとり親控除とは、シングルマザー・ファーザー、すなわち「ひとり親」が、毎年「35万円」の所得控除を受けられる制度です。
後述する要件をみたす限り、子が何歳でも利用できます。
2020年度分から施行された制度で、まだ知名度が低く、活用していない世帯も多いことが想定されます。
特に、婚歴の有無が条件となっていないので、婚歴のない「ひとり親」の方は、ぜひとも活用していただきたい制度です。
ひとり親控除ができる以前は、似た制度として「寡婦控除」「寡夫控除」がありました。しかし、いずれも婚姻歴があることが必要とされており、未婚のシングルマザー・ファーザーは対象外でした。
それでは憲法が定める「法の下の平等」(憲法14条)に違反する疑いがあるということで、婚姻歴を問わない制度として定められたのが、「ひとり親控除」です。
ひとり親控除を受ける要件
ひとり親控除の要件は以下の通りです。
【ひとり親控除の要件】
1. 現に婚姻していないこと、または配偶者の生死が明らかでないこと
2. 事実婚(内縁)と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと
3. 生計を一にする子がいること
4. 子の所得の合計額が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていないこと
5. 合計所得金額が500万円以下であること
注目すべきは、子の年齢が要件になっていないということです。子が成年に達していても、上記要件をみたす限り、ひとり親控除の対象となるということです。
また、「合計所得金額が500万円以下」という所得制限があります。「合計所得金額」は、所得が給与所得だけの場合は「年収677万7,778円以下」ということになります。
「ひとり親控除」の手続き
「ひとり親控除」の手続きは、給与所得者(会社員・公務員等)と個人事業主とで異なります。
◆給与所得者は「年末調整」
給与所得者は、勤務先で10月頃から年末調整の書類が配られるので、そのなかの「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記入して提出します。
「区分C:障害者、寡夫、ひとり親又は勤労学生」の「ひとり親」の欄にチェックを入れます。
◆個人事業主は「確定申告」
個人事業主は、確定申告の際に、確定申告書の「第一表」の「寡夫、ひとり親控除」の欄に金額「350000」を記入し、「第二表」の「本人に関する事項」の「ひとり親」欄に〇をつけます。