【23年経済成長率予想】ASEAN諸国は引き下げも「フィリピン」は高成長維持の理由

7月17日週「最新・フィリピン」ニュース

【23年経済成長率予想】ASEAN諸国は引き下げも「フィリピン」は高成長維持の理由
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今回は、アセアン各国とフィリピンを比較しながら、2023年の経済成長予測を中心にみていきます。

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赤字傾向が継続しているフィリピンの「貿易収支」

フィリピンの5月の輸出が6か月ぶりに拡大し、輸入も鈍化したため、フィリピンの貿易赤字は3か月ぶりの最低水準まで縮小しました。

 

5月の貿易収支は44億ドルの赤字で、4月の修正済みの48.4億ドルの赤字および2022年5月の55.6億ドルの赤字よりも小さくなっています。フィリピンは過去8年間、2015年5月の6495万ドルの貿易黒字以来、貿易赤字を抱えていました。

 

5月の商品輸出は1.9%増の64.4億ドルとなり、5ヵ月連続の減少を終え、2022年11月の+13.1%以来の最大の伸びを記録しました。これは4月の修正済みの20.2%の減少を反転させたものですが、昨年の5月の+6.3%には及びませんでした。

 

一方、5月の輸入は8.8%減の108.4億ドルとなり、4月の修正済みの15%の減少よりも鈍化し、2022年5月の+30.2%を反転させました。今年の上半期累計では、輸出は11.5%減の282.1億ドル、輸入は6.6%減の522億ドルとなっています。これにより、1月から5月までの累計貿易赤字は239.9億ドルとなり、昨年同期の239.6億ドルの赤字とほぼ変わらない水準となりました。

 

貿易赤字の縮小は、フィリピンペソ弱圧力が弱まることを示唆しています。そして、輸出の回復には電子部品の出荷量の急回復が貢献しています。

 

5月の輸出では、工業製品が全体の輸出収入の81%を占め、前年比で4.5%増の52億ドルとなりました。電子部品は製造輸出の約3/4を占め、5月の総輸出の半数以上を占めており、15.9%増の31.2億ドルの内、半分以上が半導体輸出によるものです。5月の輸入では、設備投資財の輸入は5.9%減の31.6億ドル、消費財の輸入は24.7%増の21.3億ドルとなりました。

 

中国が5月のフィリピン製品の主要な輸出先であり、輸出額は10.7億ドルで総輸出額の16.6%を占めています。他の主要な輸出先は、総輸出額の15.7%または10.1億ドルを占めるアメリカ、14.4%または9.3億ドルを占める日本です。同様に、中国は輸入の主要な供給源でもあり、5月の総輸入額の24%または26億ドルを占めています。これに続くのは、8.5%または9.17億ドルのシェアを持つインドネシアと、7.3%または7.95億ドルのシェアを持つ日本です。

 

フィリピン輸出事業者協会は、サプライチェーンの問題にもかかわらず、輸出の成長が続くと見ています。また、政府の1%の輸出成長目標は達成できるとの自信も示しています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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