赤字傾向が継続しているフィリピンの「貿易収支」
フィリピンの5月の輸出が6か月ぶりに拡大し、輸入も鈍化したため、フィリピンの貿易赤字は3か月ぶりの最低水準まで縮小しました。
5月の貿易収支は44億ドルの赤字で、4月の修正済みの48.4億ドルの赤字および2022年5月の55.6億ドルの赤字よりも小さくなっています。フィリピンは過去8年間、2015年5月の6495万ドルの貿易黒字以来、貿易赤字を抱えていました。
5月の商品輸出は1.9%増の64.4億ドルとなり、5ヵ月連続の減少を終え、2022年11月の+13.1%以来の最大の伸びを記録しました。これは4月の修正済みの20.2%の減少を反転させたものですが、昨年の5月の+6.3%には及びませんでした。
一方、5月の輸入は8.8%減の108.4億ドルとなり、4月の修正済みの15%の減少よりも鈍化し、2022年5月の+30.2%を反転させました。今年の上半期累計では、輸出は11.5%減の282.1億ドル、輸入は6.6%減の522億ドルとなっています。これにより、1月から5月までの累計貿易赤字は239.9億ドルとなり、昨年同期の239.6億ドルの赤字とほぼ変わらない水準となりました。
貿易赤字の縮小は、フィリピンペソ弱圧力が弱まることを示唆しています。そして、輸出の回復には電子部品の出荷量の急回復が貢献しています。
5月の輸出では、工業製品が全体の輸出収入の81%を占め、前年比で4.5%増の52億ドルとなりました。電子部品は製造輸出の約3/4を占め、5月の総輸出の半数以上を占めており、15.9%増の31.2億ドルの内、半分以上が半導体輸出によるものです。5月の輸入では、設備投資財の輸入は5.9%減の31.6億ドル、消費財の輸入は24.7%増の21.3億ドルとなりました。
中国が5月のフィリピン製品の主要な輸出先であり、輸出額は10.7億ドルで総輸出額の16.6%を占めています。他の主要な輸出先は、総輸出額の15.7%または10.1億ドルを占めるアメリカ、14.4%または9.3億ドルを占める日本です。同様に、中国は輸入の主要な供給源でもあり、5月の総輸入額の24%または26億ドルを占めています。これに続くのは、8.5%または9.17億ドルのシェアを持つインドネシアと、7.3%または7.95億ドルのシェアを持つ日本です。
フィリピン輸出事業者協会は、サプライチェーンの問題にもかかわらず、輸出の成長が続くと見ています。また、政府の1%の輸出成長目標は達成できるとの自信も示しています。
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