年金繰下げ受給を決めた理由

タケオさん(仮名)は、66歳の誕生日を迎えたばかり。1つ年下の妻と仲睦まじく暮らしています。

60歳で定年退職したタケオさんは、同じ職場で1年ごとに契約を更新して66歳まで働きました。その間、年金は繰り下げていたため受け取っていません。

タケオさんが年金の繰下げを決心したのは、少しでも年金を増やせたら生活にゆとりが生まれると考えたからです。年金受給を1年遅らせたおかげで、8.4%年金が増えました。これにより、タケオさんは月17万円ほどの年金を受け取れる予定です(※)

(※)年金繰下げ受給は最大75歳まで可能で、繰り下げた期間1ヵ月につき0.7%増額される。また増額された年金は、一生涯受け取ることができる。

大きな金額ではありませんが、「趣味のゴルフに1回多く行けるな」と楽しみにしていました。

退職後は時間に余裕もできたため、久しぶりに同期入社の元同僚と2人で飲みに行くことに。そこで、意外な話を耳にします。

その同僚は60歳で定年を迎えた後、同じ職場へ残る選択はしませんでした。聞けば、週3回のアルバイトで月に7万円程度の収入を得ているそうです。アルバイトで生計が立てられるのかと疑問に思っていたタケオさんは、思い切って同僚の家計事情を聞いてみることに。

すると、「年金を繰上げ受給したからなんとかなっている」と言うのです。

年金の繰上げによる減額率は、1ヵ月あたり0.4%です。60歳から受け取る場合、5年間(60ヵ月)繰り上げるため24%の減額となります(※)

(※)昭和37年4月1日以前生まれの減額率は0.5%、最大30%

減額についてタケオさんが指摘すると、同僚は「まあ、いろいろな考え方があると思うけど、繰下げ受給にもデメリットはあるし……俺たち夫婦は若く元気なうちに時間とお金を使って、残りの人生を楽しみたいと思って」と話してくれました。

タケオさんには、受給額が減る「繰上げ受給」という選択肢がなかったため、同僚の決断に驚いたそうです。また、同僚が口にした「繰下げ受給のデメリット」が気になったタケオさんは、家に帰って早速調べてみました。