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現金や預金を相続する場合は、納税資金としてそのまま使えますが、「土地の相続」で相続税がかかる場合は、納税資金を別途用意しなければならず、大きな金額の支払いに困ることがあります。仮にお金を準備できず税金が払えない場合でも、納税の期限は原則として延長されません。本連載は、司法書士法人みどり法務事務所が運営するコラム『スマそう−相続登記−』から一部編集してお届け。この記事では、土地の相続税を払えないときの対処法を5つ紹介します。

土地の相続で相続税を払えない状況とは?

土地の相続では、相続税を支払うことが難しくて困るケースもあります。その状況とは、一体どのような状況なのでしょうか。

 

遺産相続では相続税がかかる場合とかからない場合がある

相続税の支払いが難しい状況にあるということは、遺産を相続した人に相続税が課されているということです。遺産を相続しても相続税がかかる場合とかからない場合があるので、相続税がかからなければ、そもそも支払いに困ることはありません。

 

遺産額が相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、原則として相続税がかかると考えておきましょう。

 

遺産に含まれる現預金が少ないと、納税資金を準備できない場合がある

相続税は現金による一括納付が原則です。

 

相続人自身に十分な貯蓄があり、税金の支払いに充てるお金を用意できる場合は問題ありませんが、そうでない場合は納税資金を準備できず相続税の支払いで困ることがあります。

 

遺産分割協議で揉めると、預金を引き出せず困る場合がある

銀行口座の名義人が亡くなったことを金融機関が知ると、その口座は凍結されて入出金ができなくなります。遺産分割協議が終わって誰が銀行預金を相続するのか決まるまで、原則として預金を引き出すことはできません。

 

遺産分割協議で揉めてしまい相続税の申告期限である10ヵ月以内に合意できないと、相続税の納税資金として預金を使いたくても引き出せず困る場合があります。

土地の相続税を払えないときの5つの対処法

土地の相続税を払えない場合でも、相続が起きたときの状況に応じて検討を行うことで対応できる場合があります。以下では主な対処法を5つ紹介するので、土地の相続税でお困りの方は実際に活用できる方法がないか確認してみてください。

 

1.延納によって分割で払う

相続税は現金による一括納付が原則ですが、支払いが難しい場合には分割で払う「延納」という制度を使える場合があります。分割で支払う期間は最長20年で、延納によって納付できるのは以下の条件を満たす場合です。

 

・相続税額が10万円を超えること

 

・金銭で納付することを困難とする事由があること

 

・延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること(※)

 

・延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること

 

※延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下である場合は、担保の提供は不要

 

延納にすると利子がかかるので支払い額が増える点はデメリットですが、分割して支払うことで負担を分散できる点がメリットです。

 

ただし延納制度を利用するには、担保として提供できる財産が必要になります。担保にできる財産の種類は国債や土地、建物など一定の財産に限られ、売却できる見込みがない財産、担保としての価値がない財産は基本的に担保として認められません。

次ページ物納によって現金ではなく「現物」で払う

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