身元保証事業の言い分…
しかし、そのような施設側の言い分としては、「もし自分たちのような施設がなければ、生保の人は行き場がなくなる。自分たちのしていることこそ福祉事業である」ということなのかもしれません。
なかには、公然の秘密として行政とつながっている施設もあります。行政の福祉課としても、どのような問題や背景を抱えている高齢者でも無条件で引き取ってくれる施設は好都合であり、退院した人やお金のなくなった人を回すのです。
もちろん、公的サービスがすべて根拠に基づき適正に提供され、利用者が幸せであれば何も問題はありません。問題は、そのような利用者は大抵独り身であり、家族や関係者が外部から監視することがないという環境にあります。
そのような施設では、報告先がないのをいいことに、施設内で事故や虐待が起きても隠蔽し、なかったことにしてしまうかもしれません。
入居者の年金や生活保護費が振り込まれる通帳を「預かる」という名目で取り上げ、死後勝手に自分たちのものにしてしまう施設まであると聞きました。正に骨の髄までしゃぶりつくす悪魔のような施設です。
このような課題は貧困ビジネスの施設に限ったことではありませんが、コロナ禍が続き外部の目が行き渡らなくなってしまったため、なかの利用者の人権が守られているかをしっかり見守り続ける必要があります。
「おひとり様」が増えるなかで、身元保証事業はますます活況を極めていくことと思いますが、明確な法整備が進んでいない現状では、あまり頼らない方が良いでしょう。そのような業者を使わなくても、血縁関係はなくても信頼のおける友だちや後輩などと、関係を作っておいて最低限のことを頼むことができれば、それが一番安心ではないかと思います。
あるいは、自分に判断力があるうちに任意後見契約を成年後見に精通した士業や、司法書士会などの公的団体に依頼することもおすすめです。法律の専門家が提供するサービスであり、「食い物にされる」というリスクはまず考えられません。
外岡 潤
「弁護士法人おかげさま」代表
弁護士