貧困ビジネスのからくり
サービスについても、普段の話し相手から緊急時の病院への付き添い、入居金の連帯保証、死後の私物処分などさまざまな内容があり、パッケージ化されていることもあるので、どれが自分に必要なのかを見極める必要があります。
たとえば「2ヵ月に一度入居先の施設を訪問する」というサービス内容だったにも関わらず、実際にはそれが守られていない、クレームを言いたくても窓口がないなどのトラブルに陥るケースがあります。
預けた供託金がどのように使われているかもわからず、それがなくなったら「金の切れ目が縁の切れ目」とばかりに放り出されてしまう。そんな詐欺まがいのトラブルも発生しています。
もし毎月の利用料が払えなくなって、施設を出ていくことになったら、その先はどうなるのでしょうか。
ご本人に財産がなければ、役所に保護され、生活保護 (生保) を受給することになるでしょう。認知症であれば、役所が後見人をつけてくれます。その上で、生活保護の予算で入れる施設へ移されます。
そのすべてがそうとは言いませんが、いわゆる生保の利用者を優先的に受け入れる民間施設(特養など公的な施設は除く)は、いわゆる貧困ビジネス※の温床になっている可能性があります。
介護保険の収入を増やす目的として、施設に入居しているにもかかわらず、明らかに不要な訪問介護 (外出、買い物など)を毎日入れたり、医療保険目的で利用者に大量に薬を与えていた施設が実際に過去ありました。ある施設では、スタッフがおむつ交換を面倒がり、まるで玉ねぎのように何重にもおむつを巻いていたということもありました。
なぜ生保の人でも格安の家賃で入居できるかというと、その裏で介護保険と医療保険を限度いっぱい使い、お金を引っ張り採算をとるというのがカラクリです。
貧しい入居者を金のなる木として扱う、まさに貧困ビジネスです。
<注釈>
※「貧困ビジネス」とは……困窮している人の弱みにつけ込んで、利益をあげる悪質な事業者。例えば、 違法な家賃の取り立てや、 囲い屋と呼ばれる者による生活保護費の搾取など。貧困ビジネス事業者は、社会的企業を標榜しながら、実際には生活に困窮した状態から抜け出せないようにして、不当に利潤を得ていることが多い。