(※写真はイメージです/PIXTA)

昨今の劇的な環境変化を受け「企業名と事業のズレ」や、「目指す姿の再定義」などを理由に社名変更を検討する企業が増加しています。しかし、社名変更は多くの企業で前例がないことが多く、上手く結果と結びつけられないケースも多いといいます。そこで本記事では、社内の一大プロジェクトである社名変更を事業成長につなげる方法について株式会社 YRK andのブランディングストラテジスト・須崎雅大氏が解説します。

社名変更がいつの間にか「ゴール」に…

社名変更のきっかけは、企業によってさまざまです。よくある社名変更のきっかけは、

 

・事業内容の変化に伴う企業名と実態のズレ解消のため

・企業合併によるグループ再編のため

・事業継承に伴う目指す姿の再定義のため

・海外進出に伴うグローバルでも通用する企業づくりのため

・創業周年を機に事業を加速させたいため

 

などがあります。いずれのケースも社名変更はあくまで手段であり、目指したい姿や見込みたい効果は、社名変更のあとの企業像にあることがわかります。

 

しかし、多くの企業では、社名変更独特の慣れない手続きやタスクの多さ、数多くの関与部門や関係各所への立ち回りなどによって、本来のゴールを見失い、いつの間にか名称を変更すること自体がゴールになってしまいがちです。

 

その結果、社名変更(名称変更)は無事完了したが、その後の浸透計画や事業加速アクションが不足し当初のゴール達成には、想定以上に時間がかかるなんてことが、普通に起こり得てしまいます。そのような事態にならないためには、プロジェクト発起時に明確なゴールの可視化と判断基準づくりが必要です。そして、初期段階でのゴールの可視化は、文字情報ではなくイラストや写真などの視覚情報で可視化することも重要な要件となってきます。

 

出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magazineコラム
[図表1]社名変更がいつの間にかゴールになっている企業 出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magazineコラム

 

社名変更自体がゴールになってしまう要因

社名変更自体がゴールになってしまう要因のひとつに、プロジェクト進行の判断基準が曖昧であることが挙げられます。社名変更は、その企業にとって誰も経験したことがない前例なきプロジェクトとなるため、「こうすればスムーズかつ自信を持って進められる」という判断基準が存在せず、高難易度案件となってしまうのです。

 

また、社名変更のプロセスでは、企業資産の洗い出しのため経営層・従業員を巻き込んだヒアリングや社内ワークショップなどを開催するケースも多く見受けられます。ただ、バラバラのベクトルや階層の異なる情報をまとめ上げていくためには、客観的な視点の導入と明確な判断基準がなければ、プロジェクトや企業の目指すブランド像が迷走します。

 

出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magazineコラム
[図表2]社名変更のプロセス 出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magazineコラム

 

社名変更までのプロセスに社員をどこまで参画させるのかは、企業によってケースバイケースですが、重要なことは、初期のプロジェクトデザイン段階で、

 

・なんのためにその部署や社員を巻き込むのか(参画基準)

・意見の良し悪し(判断基準)

 

上記について明確に定義してから取り掛かることです。加えて、正しい基準を作るためには、企業全体を客観的かつ俯瞰しながらまとめていく人材が必要であるため、専門の外部パートナーを頼ることも有効です。

 

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