「ソーシャルプロダクツ」を売ると値上げに強い企業になれる!?
値上げに強いブランド力づくりには、「好き」で買い続けてくれるファンが必要で、そのためには機能的差別化だけでなく感情的差異化によって選ばれる商品やサービスをつくらないといけない――。それは、「ソーシャルプロダクツ」に取り組むことで実現できます。
「ソーシャルプロダクツ」とはサステナブルを意識した商品――「人や地球にやさしい商品やサービスの総称」のことですが、どこか特別な、意識高い系の生活者が選ぶ商品だと思われがちです。しかし、日本の会社が提供している商品やサービスで、社会悪なものがあるでしょうか。どの商品やサービスも、社会のどこかをもっとよくすること、改善することが目的で、誰かのために役立っているはずです。
高度経済成長期の工場から出る排煙や排水による公害問題や、開発による環境破壊も、現在では劇的に改善されています。どれくらい改善されているのかは、各社ホームページのIRやCSRのページを見ればよくわかります。
たとえば、
など、これらはいくつかの会社のCSRページに載っていたもので、環境負荷への大幅な改善を物語る数字なのですが、CSRという特定の人しか見に行かないページに掲載されていることが、もったいないと思っています。
しかし、これらの数字を変換したり換算したりするだけで、意味も価値も変えることができます。商品やサービスそのものの価値につなげることができるのです。それは、図表1の50%や30%の削減数字を全体としてではなく、あるいは何年分かの積み重ねの数字ではなく、
商品1つあたりに換算する
顧客1人あたりに換算する
それを1年にするといくらになるか換算する
これから10年でどのくらいになるか換算する
日本全国だとどのくらいか、世界だとどうなるか、2030年の目標に対して今どこまで来ているかに変換してみる
ということなのです。
こうすると、その商品を買うこと、使うことが、直接CO2や電力やエネルギーを削減することにつながっているという実感が持てるはずです。つまり、これらの商品を買って使うことは、その企業の社会や環境に対する取り組みに参加していることであり、協力していることであり、応援そのものなのだと位置づけられるのです。こうした換算や変換によるコミュニケーションは、「セロテープSDGs」や「大川印刷」、「アディダスRUN FOR THE OCEAN」ではすでに行われています。
ところで、「ソーシャルプロダクツ」が特別なモノではないとしても、通常の商品よりも割高感があって、なかなか買ってもらえないのではないか、という話を聞きます。
買わない理由は「価格」ではない
買ってもらえないのは、価格が高いからなのでしょうか。一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP)が、毎年実施している生活者調査の結果にそのヒントがあります。
2021年の11月に生活者に聞いた調査結果が下のグラフです。ソーシャルプロダクツの購入意向があるにも関わらず買わなかった生活者600人に、「なぜ買わなかったのか」を聞いたものです。
1位はたしかに「価格が高いから」(30%)という理由ですが、2位が「どれが該当商品かわからない」(29%)、3位は「身近で買える場所が無い」(21%)、4位は「商品ラインナップが少ない」(14%)と続き、「品質が高くない」「デザインが洗練されていない」という理由もあります。
つまり、高いから買わないという人も30%はいますが、それ以外の理由は「ソーシャルプロダクツ」だから買わなかったのではなく、通常の商品であってもおそらく買わなかっただろうと思われる理由が並んでいるのです。
「ソーシャルプロダクツ」は高いから買ってもらえないのではなく、通常の商品と同じような努力がなされていないことが買ってもらえない原因だということです。
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