1―内需主導のプラス成長
2023年1-3月期の実質GDPは、前期比0.7%(年率2.7%)となった。
海外経済の減速を背景に輸出が前期比▲4.2%の大幅減少となり、外需が成長率を押し下げたが、民間消費(前期比0.5%)、設備投資(同1.4%)が高い伸びとなり、公的需要も増加したことから、内需主導のプラス成長となった。
2022年度の実質GDP成長率は1.4%(2021年度は2.6%)、名目GDP成長率は2.0%(2021年度は2.4%)といずれも2年連続のプラスとなった。
2―新型コロナは5類に移行
新型コロナウイルス感染症は、5/8に感染症法上の位置づけが「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」から「5類感染症」に移行した。
これにより期待されるのが、外食、宿泊などの対面型サービス消費とインバウンド需要の回復だ。
コロナ禍の行動制限によって急速に落ち込んだ対面型サービス消費は、2022年度には緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されなかったことからは持ち直しの動きが続いた。
しかし、2023年4月時点の対面型サービス消費の水準はコロナ禍前(2019年平均)の8割強にとどまっており、今後の増加余地は大きい。
インバウンド需要はコロナ禍でほぼ消失した状態が続いていたが、2022年10月以降、段階的に水際対策が緩和されてきたことを受けて急回復している。2023年4月の訪日外客数は194.9万人、2019年同月比▲33.4%となり、コロナ禍前(2019年平均)の7割弱の水準まで回復した。コロナ禍前には全体の約3割を占めていた中国からの訪日客数は2019年同月比15%の低水準にとどまっている。
しかし、日本の水際対策はすでに終了しており、中国が日本への団体旅行を解禁すれば、中国からの訪日客数は急回復するだろう。
訪日外客数以上に回復が顕著なのが、訪日外国人の旅行消費額だ。2023年1-3月期の訪日外国人旅行消費額は2019年同期比▲11.9%の1兆146億円となった。
訪日外客数に比べて減少幅が小さいのは、為替レートがコロナ禍前に比べて円安水準になっていることから、一人当たり消費額が21.2万円、2019年同期比43.8%の大幅増加となっているためだ。
水際対策の終了に伴い、先行きも訪日外客数の回復が続き、2023年中には瞬間風速(月次の年率換算値)でコロナ禍前の水準(2019年の3188万人)を突破する可能性が高い。
訪日外客数が年間で過去最高を更新するのは2024年になる可能性が高いが、円安による一人当たり消費額の押し上げが続くため、訪日外国人旅行消費額を5兆円にするという政府目標は2023年に達成されるだろう[図表1]。
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