(※写真はイメージです/PIXTA)

法定後見制度とは、認知症などによって判断能力がなくなったり不十分となったりした本人の代わりに、財産管理や契約などを行う「成年後見人」などを選任する制度です。似た制度として、「任意後見制度」がありますが、どのような違いがあるのでしょうか? Authense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

「法定後見制度」の利用方法・手続きの流れ

法定後見制度を利用するためには、どのような手続きを踏めばよいのでしょうか? 基本的な流れは次のとおりです。なお、ここでは法定後見制度のうち、「後見」を前提として解説します。

 

専門家に相談する

法定後見制度を利用するにあたっては、まず弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。法定後見制度には注意すべき点も多く、手続きにあたっては制度について十分な理解が必要となるためです。

 

また、成年後見制度の利用には、多くの書類が必要となります。専門家へ手続きを依頼することで、書類作成のサポートや代行なども受けられるでしょう。

 

家庭裁判所に申し立てる

専門家への相談の結果、成年後見制度を利用することとなった場合には、家庭裁判所に申し立てを行います。申し立て先の家庭裁判所は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。申し立てにあたっては、次の書類など、多くの書類が必要となります※1

 

・後見、保佐、補助開始等申立書:申し立ての基本となる書類

 

・申立事情説明書:申し立てに至った動機などを記載する書類

 

・親族関係図:本人の親族関係を表した図

 

・親族の意見書:成年後見制度利用に関する親族の意見を表明する書類

 

・後見人等候補者事情説明書:後見人の候補者の生活状況や経歴などを記載する書類

 

・財産目録:本人の財産を一覧とした書類

 

・収支予定表:本人の定期的な収入や定期的な支出を示す表

 

・本人の戸籍謄本:発行から3ヵ月以内の戸籍謄本

 

・本人の住民票:発行から3ヵ月以内の住民票

 

・成年後見人候補者の住民票:発行から3ヵ月以内の住民票

 

・本人の診断書:発行から3ヵ月以内である医師の診断書

 

・本人情報シート写し:医師に診断書を作成してもらうにあたり、医師に本人の生活状況を伝える「本人情報シート」の写し

 

・本人の健康状態に関する資料:介護保険認定書、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳などの写し

 

・本人の成年被後見人等の登記がされていないことの証明書:本人について、成年被後見人や被保佐人、被補助人、任意後見契約についての記録がないことを証明する書類

 

・本人の財産に関する資料:預貯金通帳の写し、不動産登記事項証明書、ローン契約書の写しなど

 

・本人の収支に関する資料:年金額決定通知書、給与明細書、確定申告書、家賃や地代等の領収書、施設利用料、入院費、納税証明書、国民健康保険料等の決定通知書など

 

これらの書類を、すべて自分たちで用意するには多大な労力を要します。そのため、専門家のサポートを受けながら準備したほうがよいでしょう。家庭裁判所に申し立てをすると、本人の面談や後見人候補者からの事情の聞き取りなどが行われます。また、本人の精神の状況について鑑定がなされる場合もあります。

 

成年後見人が選任される

家庭裁判所でさまざまな審査がなされた結果、制度の利用が必要であると判断されれば、成年後見等の開始の審判がなされます。同時に、家庭裁判所が適任であると判断した人が、成年後見人等として選任され、就任します。

 

申し立てから審判までに要する期間は状況によって異なりますが、鑑定が必要ないとされた事案でも、おおむね1ヵ月から2ヵ月程度はかかるでしょう※2

 

法定後見制度の場合には、審判が下りた後、すぐに成年後見人の職務が開始されます。

 

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