「日本に行けば毎月20万円~30万円は稼げる」…夢を追い日本に来た「外国人留学生」に待ち受ける酷すぎる現実

「日本に行けば毎月20万円~30万円は稼げる」…夢を追い日本に来た「外国人留学生」に待ち受ける酷すぎる現実
(※写真はイメージです/PIXTA)

グローバル化が進み、日本でも在留外国人の数は徐々に増えています。そのなかで問題となっているのが、外国人の「不法滞在」です。しかしその裏側には、不法滞在をしてでも働き続けなければならないという、過酷な現実があるといいます…。本記事では、弁護士である明石順平氏が、著書『データで見る日本経済の現在地 働くときに知っておきたい「自分ごと」のお金の話』(大和書房)より、日本では報道されない外国人労働者の実態について解説します。

ところが、日本に来てみると、話が違う。まず、「週28時間」という就労時間の上限について説明されていない場合がほとんどだ。週28時間では、学費も借金返済もままならないので、やむを得ず上限を破り、入管法違反で摘発されるリスクを負いながら就労することになる。

 

就労先も見て見ぬふりをする。給料からは、借金や寮費等が天引きされ、留学生の手元にはわずかな額しか残らない。そこで帰ろうと思っても、莫大な借金があり、帰国するとその返済ができなくなることから、帰れない、という状態に追い込まれる。

 

ブローカーは留学生からも日本語学校からも手数料を得られ、借金の利息も手にする。就業先は人手不足を解消できる。日本語学校は留学生の学費で儲かるうえ、就業先からリベートを得ることもある。

 

ブローカー、就業先、日本語学校の3者が潤う一方、だまされた留学生は借金返済のため日本で働き続けるしかなくなる。留学生たちは言葉もよく分からず、非常に弱い立場にあるので、労働基準法をはじめとする労働関連の法規制の無視が横行し、過酷な労働環境にさらされる。

 

そして、日本語学校を卒業すると、「留学生」という在留資格を維持するため、今度は専門学校や大学に進学する。日本語学校での在学期間では到底借金を返済し切れないからね。少子化で収入確保に悩む専門学校や大学は、留学生を喜んで受け入れる。

 

しかし、留学生たちの中には、そこを卒業してもよい就職先がない、睡眠不足で勉強についていけない、学費を払えないなどといった理由で失踪していく人たちもいる。失踪して退学となれば在留資格を失うので、不法滞在者ということになってしまう。それでも、母国には帰れない。膨大な借金があるからだ。だから不法滞在者のまま、借金返済のために働き続けることになる。

留学生の厳しい実態が日本では報道されないワケ

 そんな現実があったんだね。知らなかった……。

 

 それはあまり報道されていない影響もあるだろう。新聞販売店が外国人留学生を利用していることがその背景にある。新聞各社には、大学などの学費を援助し、住居も提供する代わりに、学生に新聞配達などをしてもらう「新聞奨学会」という制度がある。

 

外国人に対してもこの新聞奨学生制度を利用して日本に留学してもらい、新聞配達などをさせている。少子化の進行に加え、新聞配達業務は過酷なので、最近は日本の若者が集まらない。だから外国人留学生をターゲットにしている。

 

留学生たちは朝刊に加え、夕刊も配達するので、どう頑張ってもその労働時間は週28時間には収まらない。では28時間を超える部分の報酬についてはどうするのかというと、払わない。払ってしまうと28時間超の労働をさせていることがはっきりしてしまい、入管法違反となるからだ。

 

留学生たちは過酷な長時間労働に加え、ときに販売店の日本人従業員から暴力を振るわれることもあるという。学費の援助や寮の提供がある分、ブローカーからの借金を抱えて来日するほかの留学生よりはまだましかもしれないが、違法な状況で働かされていることに変わりはない。

 

 汚いね。自分たちも同じことをやっていて後ろめたいから、報道したくないということだね。

 

 

明石 順平

弁護士

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データで見る日本経済の現在地

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明石 順平

大和書房

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