(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年6月26日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会長を務めた尾身茂氏が、感染の「第9波」が始まっている可能性があるとの認識を示しました。新型コロナウイルス感染症は「5類」に移行しましたが、休業しなければならなくなるリスクはまだあります。また、治療費も自己負担となります。それらをカバーできる保険の一つに「所得補償保険」があります。補償内容と、どんな人に向いているのかについて、解説します。

所得補償保険とは

所得補償保険は、生命保険会社ではなく損害保険会社が販売している保険です。

 

医師からドクターストップがかかった場合、すなわち、働くのをやめて療養するように指示された場合に、その日数に応じた給付金を受け取れるものです。

 

療養は、入院か自宅療養かを問いません。これが大きな特徴です。

 

所得補償保険は、給付金の額は月単位で設定し、支払いは1ヵ月あたり30日として換算した「日割り」で行われるしくみになっています。

 

また、「4日間」「7日間」などの「免責期間」が定められており、それを過ぎてから給付金を受け取ることができます。

 

たとえば、給付金の額が「月15万円」、免責期間が「4日間」のプランに加入した人が20日間休業した場合、以下の通りです。

 

15万円÷30日×(休業日数20日-免責期間4日間)=8万円

 

保険料は、職業別に3段階に定められています。ケガをする危険性が高くなるほど、保険料が高くなります。

 

他方で、性別による金額の差は設けられていません。

 

ただし、保険会社によっては、女性の妊娠・出産等にともなう身体障害(重度のつわり、切迫早産等)による休業については、別途特約を付けることで補償対象とすることができます。

所得補償保険は必要か?まずは「公的保障」の確認を

このように、所得補償保険は、入院・自宅療養を問わず、「働くのをやめて療養しなさい」というドクターストップがかかれば、休業日数に応じた保険金を受け取れる便利な保険です。

 

しかし、すべての人に有益かというと、必ずしもそうとは言えません。

 

なぜなら、わが国では、働けなくなった時に受けられる公的保障が比較的充実しているからです。

 

働けなくなって休業しなければならなくなり、収入が得られなかったとしても、その分を公的保障で賄えるのであれば、民間の保険の必要性は乏しいといえます。

 

特に、サラリーマン(会社員・公務員)には被用者保険による「傷病手当金」の制度があります。これは、働けなくなった場合に給与の約3分の2(67%)を、最大1年6ヵ月間受け取れるものです。

 

新型コロナウィルスに感染して休業し、療養しなければならなくなった場合には、この傷病手当金が機能し、給与の約3分の2を確保できるのです。

 

なお、サラリーマンには他にも有給休暇の制度がありますし、勤務先によってはそれとは別に療養休暇の制度を設けているところもあります。

 

サラリーマンの場合、新型コロナウィルスで休業しなければならなくなるケースの大半は、そういった公的保障等で賄えてしまう可能性が高いといえます。

 

したがって、サラリーマンが所得補償保険に加入する必要性は乏しいと考えられるのです。

 

なお、傷病手当金を受け取れるのは最大1年6ヵ月間です。休業がそれ以上にわたった場合については、別途、「就業不能保険」という保険で備えることが考えられます。これは、所定の障害状態、あるいは介護状態に陥った場合に、月ごとに給付金を受け取れるタイプの保険です。

 

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