(写真はイメージです/PIXTA)

2023年に入ってから上昇基調にある日本株式。足元の株高は「円安」と「米株高」である程度説明ができそうです。本稿ではニッセイ基礎研究所の前山 裕亮氏が、日本株高の「賞味期限」について分析します。

日本株式の評価も実はそれほど高まっていない?

 

また、バリュエーションを見ても日本株式の独歩高とはいえない状況であることが見て取れる。

 

TOPIX(青線)の予想PERは14倍を超えるなど切りあがってきているが、S&P500種株価指数(黄線)も足元で19倍になるなど上昇している。単純に考えると、S&P500種株価指数に対してTOPIXはまだ8割弱の評価(面グラフ)にとどまっているという見方もできる。

 

過去を振り返るとTOPIXの予想PERは2012年から2015年はS&P500種株価指数の9割前後、2016年から2021年は8割前後であった。やはりアベノミクス相場では日本株式に対する評価が相対的に高かったことがうかがえる。

 

足元、アベノミクス相場と比較されることもあるが、バリュエーションからみると日本株式の評価がそれほど高まっているわけではないことが分かる。このことからも世界的にリスク選好が高まったことで日本株式も上昇してきた面が強いことがうかがえる。

 

 

今後も為替と米株、次第か

 

逆に言うと、米国株と比較して日本株式の相対的な割高感はたいして高まっていないため、まだ上昇余地があるといえるのかもしれない。

 

ただし、これまで追い風となっていた円安や米株高が日米の金融政策の動向次第で今後止まる可能性があり、むしろその可能性の方が高いように思われる。追い風が止まり、さらには円高に米株安と逆風になった時に、日本株式が耐えられるかが注目される。

 

つまり、日本株式自体に対する評価が本当に前向きに変わったのかは、追い風が止まってから分かるのであろう。

 

日本株式に対する評価がさほど変わっていなければ、為替や米国株式が変調をきたした時が日本株高の賞味期限になるのではないかと考えている。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年6月21日に公開したレポートを転載したものです。

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