「生活給」から脱却ができなかった根本要因
けれども、生活給&時間給概念は覆らなかった。いや、人事制度的にはこの頃独立を果たした楠田岳による職能資格制度が広がり始めるので、必ずしも生活給ではない仕組みに切り替える土壌はあった。
しかし当時の社会情勢においては戦前教育を受けた人たちの影響が大きかった。
たとえば、1965年に40歳の働き盛りの人は、1925年生まれであり、1940~45年の際の年齢は15~20歳だ。多感な十代に受けた教育と、実社会に出た後の世の中のルールとが全く異なることに直面した人たちだ。そしてまだまだ三世帯居住が多かった時代でもあり、高齢の祖父母たちの影響も少なくはなかっただろう。
そのため①男性中心、②年功主義、ということが無意識に前提となっており、生活給からの脱却ができなかった可能性が高い。
それは、たとえばこういう理屈だ。
このような理屈について、労働者側の立場であるはずの労働運動家たちも、給与について労働の対価とだけ定義するのではなく、生活保障の側面を強く求めていたので、問題なく受け入れることができた。
そうして官僚も、経営者も、労働組合も、労働者も、ほとんどの人たちが「生活給&時間給」のセットを当然とみなしてきたのである。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】