年間、何人の子供が生まれればよいのか?
2013年、第二次安倍政権発足当時には「少子化危機突破タスクフォース」が設立され、2020年5月29日の閣議においては、子育て世代が希望通り子供が持てる数値、希望出生率1.8人を、政府の正式な目標として閣議決定されました。
しかし、この少子化という問題が、日本経済にとってどこまで深刻な状態になっているのか、政府が本当にわかっているのかどうか甚だ疑問です。まず、出生率が1.8人にまで回復するためには、年間何人の子供達がどれくらいの期間、生まれてこなければならないのでしょう?
2021年10月3日の日経新聞の記事によれば、現在の日本の人口を維持するためには(人口置換水準)、出生率が2.07人以上でなければならないそうです。しかし、2.07人の出生率を達成するためには、年間約149万人以上の子供達が毎年生まれてこなければなりません。
しかし、仮に来年から149万人の子供達が毎年生まれてきたとしても、合計特殊出生率が1.8人にまで回復するには、シミュレーションをかけてみたところ何と13年の歳月がかかってしまう計算になります。
それに引き換え現在日本の出生数は、残念ながら昨年ついに80万人を割ってしまったところなのです。反対に最後に149万人の出生数を記録したのは1984年まで遡らなければなりません。日本政府の考えは、あまりにも甘すぎるといわざるを得ません。
しかしもっと深刻なのは、年金問題です。厚生労働省の試算では、日本の老人の数は今後増え続け、3700万人ぐらいで一旦安定して推移すると予想されています(図表2「世代別人口構成のグラフ」参照)。
問題は、この3700万人もの老人達に、現在と全く同じ条件で毎年年金や介護費用を支払うためには、15~64歳までの人口が一体どれくらい必要なのか?という事です。私が試算した結果、最低でも約8000万人、一人の老人に対し約2.16人の若者で支えていかなければ、財政の均衡は図れませんでした。
しかし、今現在の日本の15~64歳までの人口は約7500万人で、もうすでに現時点でさえ、その人数には足りていない状態です(なので、財政は悪化し続けるのです)。