(※写真はイメージです/PIXTA)

「日経新聞の切り抜き」を25年間継続し、会社四季報を100冊読破した複眼経済塾の渡部清二代表は、有望銘柄には「中小型成長株、業績回復株、優良株、バリュー株、老舗株」という5つのタイプがあるといいます。今回はそのなかから「業績回復株」に焦点をあてて、株価が10倍(テンバガー)になる可能性を秘めた具体的な有望銘柄をみていきましょう。

コロナ禍終息のいま、「景気敏感株」に注視を

2.V字回復の見込みがある企業

「赤字から黒字への転換」は、営業利益などが「前期は赤字でも今期は黒字」、あるいは「今期は赤字でも来期は黒字」が見込めることを意味する。

 

赤字企業の株は、どこまで下落するか判断しにくいし、倒産や上場廃止の可能性もあるので、ほとんどの投資家は安くても買いたいとは思わないはずだ。

 

しかし、減収赤字の企業が黒字化するケースには、減収赤字から減収黒字に向かうケースと、減収赤字から一足飛びに増収黒字に向かうケースがある。後者はいわゆるV字回復の状態になるので、この変化を市場は好感することになる。当然、株価も上がることになり、減収黒字の株よりも大きなリターンが期待できるので、V字回復が見込める企業を見つけるようにしたい。

 

3.景気の好循環に乗る企業

景気の波に左右されやすい企業の株を「景気敏感株」もしくは「景気循環株」、または「シクリカル株」という。具体的な業種としては、鉄鋼、紙パルプ、化学などの素材産業、半導体関連や設備投資と関連性が高い工作機械メーカーなどが挙げられる。

 

企業によっては、個々の収益サイクルではなく、その時々の大きな経済状況の変化で業績が上向いたり落ち込んだりするわけで景気と業績は連動する。たとえば、景気が上向いていけばモノが売れるようになり、在庫は減少することになる。そのため、これに伴う生産の拡大や、設備投資が活発になり、特に巨大な生産設備を保有している企業は、売上高が高い固定費を超えた段階で利益が急拡大することが期待できる。

 

したがって、コロナ禍が終息に向かい景気が上向く局面を迎えれば、それが追い風となる。減収から増収になったり赤字から黒字に転換したりする企業が出てくるので、そうした景気の好循環に乗る企業を投資の対象にするとよいだろう。ただし景気敏感株は、景気の谷から山に転ずるタイミングに現れることが多いので、いつ何時でも存在するわけではないことを認識しておく必要がある。

 

『会社四季報 2022年4集 秋号』で、今期営業赤字から来期営業黒字へ回復するだろう銘柄は、たとえば、

 

グルメサイトを運営するぐるなび(2440)、

電解銅箔の専業メーカーの日本電解(5759)、

個人向けオンライン資格講座『スタディング』を展開するKIYOラーニング(7353)、

東京電力ホールディングス(9501)、

名古屋地盤の繊維商社タキヒヨー(9982)

 

などが挙げられる。

 

 

渡部 清二

複眼経済塾

代表取締役塾長

 

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※本連載は、2023年2月25日刊行の渡部清二氏による著書『10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本連載は、証券投資の勧誘を目的としたものではありません。 最終的な投資決定は、ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本書、本連載を利用したことによるいかなる損害などについて、著者および幻冬舎グループはその責を負いません。

10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート

10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート

渡部 清二

KADOKAWA

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