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無限責任社員と有限責任社員からなる合資会社でも、株式会社と同じように事業承継できるのでしょうか?事業承継の方法や注意点を見ていきましょう。事前にどのような準備をしておけば良いのか確認することで、事業承継対策に役立てられるはずです。

4. 合資会社は事業承継税制の対象

 

贈与や相続によって事業承継する場合、引き継ぐ資産に課される税金の負担軽減につながる『事業承継税制』は、合資会社も対象となる制度です。事業承継税制を活用し税負担を抑えるために、制度の概要を確認します。

 

4-1. 事業承継税制とは

 

事業承継税制を活用すると、中小企業者が事業承継したときに課される贈与税や相続税の納税猶予や免除を受けられます。中小企業者には合資会社も含まれるため、制度の対象です。

 

風俗営業や資産の保有を目的とした会社は利用できませんが、その他の事業であれば資本金や従業員数の基準を満たすことで活用可能です。

 

加えて事業を譲渡する側にも引き継ぐ側にも要件が設けられています。要件を満たさなければ対象外のため、活用を検討している場合にはよく確認しておかなければいけません。

 

4-2. 納税猶予を受ける流れ

 

納税猶予を受けるには、贈与や相続が発生したときに都道府県による認定を受けなければいけません。認定書が交付されたら、税務署で贈与税や相続税の申告を行うことで、納税猶予が始まります。

 

納税猶予の開始後も、定期的な申告が必要です。最初の5年間は1年に1回『年次報告書』を都道府県庁へ、『継続届出書』を税務署へ提出しなければいけません

 

5年経過後は、3年に1回『継続届出書』の提出が必要です。途中で免除の要件を満たさなくなった場合、これまで免除されてきた税金に延滞税を加え納める必要があります。

 

参考:事業承継税制とは何か。活用できる人や納税猶予を受けるまでの流れ

 

5. 合資会社の事業承継は早めの準備が必須

 

合資会社の事業承継で持分を譲渡する場合、社員全員の同意が必要です。また無限責任社員と有限責任社員が各1名以上在籍していなければいけません。そのため株式会社の事業承継と比べ、難易度が高い傾向があります。

 

相続による事業承継を希望している場合も、相続税の負担が大きく相続人が支払えないかもしれません。税金の負担を抑えるには、納税猶予を受けられる事業承継税制の活用も検討しましょう。

ただし制度の利用には複雑な要件を満たし続ける必要があるため、税理士へ相談するのがおすすめです。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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