「空腹感」や「停滞期」への有効な対策とは
#8 食事回数の増加(少量×高回数)
ダイエットの天敵は、極端な空腹感。それがドカ食いなどの反動を呼ぶからだ。
また、空腹感が大きいと血糖値の急激な上昇を誘い、余分なエネルギーを細胞内に吸収し体脂肪として蓄積しやすくなる。このような状況を避けるため、例えば1日の食事の回数を4〜5回に増やし、1回の食事量を少なく分散させることが有効。
間食、いわゆるおやつを食事扱いすることも有効で、「シックスパックプロテインバー」(著者監修)などは食べやすく栄養スペックも良い。
#9 代謝を揺さぶる(摂取・消費エネルギーの増減)
同じトレーニングと同じ食事を長期間継続すると、なかなか絞れなくなってくることがある。これは残された体脂肪が少なくなってきたために、体脂肪「量」の減少が捉えにくくなっているだけの場合か、いわゆる停滞期のどちらかである。
たくさん食べてたくさん動く日を設定したり、1週間は除脂肪を緩めたりするなど、摂取・消費エネルギーを増減させて代謝を揺さぶることがその打破に有効。
フェーズ4 カロリー収支マイナス
フェーズ3までのアプローチだけでも(正しく実践すれば)かなり身体が絞れてきているはず。しかし、それでもまだ身体が甘い、もう少し仕上げたいという場合。
ここで初めてカロリーという数字を意識したアプローチに入る。ベースカロリーを基に消費と摂取の収支バランスをマイナスに持っていく。
#10 消費エネルギーを増やす
自分のベースカロリーを把握しておくことも必要だ。
数字にとらわれすぎるのは、継続の障害になる恐れがあるので数字との距離感が大切になるが、カロリーによるアプローチが極めて有効なのも事実。
もうひと絞りしたい場合は、トレーニングの頻度を上げる、有酸素運動を加えるなどし、消費エネルギーを増やしてみよう。
#11 摂取エネルギーを段階的に減らす
食事制限によって摂取エネルギーを減らすことは、最終手段と考えよう。摂取エネルギーのベースラインを算出し、そこから5%もしくは10%オフするというのが基本。
しかし、その数値は推定でしかないので、あくまでも目安ということだけは忘れないように。日々の体重変化だけでなく、筋肉のつき方、ウエストサイズ、トレーニング内容など、肉体進化のモニタリングの解像度を高めながら進めること。
■バズーカメモ
噛むことで食欲を抑える
私たちは満腹を感じると食欲が減るが、これは脳の視床下部にある「満腹中枢」によって制御されるから。ここには「血液中のグルコース」「腸の食欲抑制ホルモン」「胃の食欲促進ホルモン」が関与している。
食事をすると、血糖値が高まり、腸が伸ばされることで食欲を抑制する消化管ホルモンであるCCK、PYY、GLP-1の分泌が高まり、胃が伸ばされることで食欲を促進するグレリンの分泌が抑えられる。
これらの情報が視床下部に伝達されることにより、満腹感を感じるのだ。
早く食べることは、ゆっくり食べることに比べ、血糖値の上昇が間に合わず、食欲抑制ホルモンの分泌が少なく、グレリンの分泌も減らない。
その結果、満腹感が得られず食べすぎにつながる。つまり、よく噛み、ゆっくり食べることは除脂肪につながるのだ。
岡田 隆
日本体育大学体育学部
教授・ボディビルダー