債務超過は「想定内」も、マーケットの反応は不透明…解決策は
中央銀行の赤字や債務超過については、過去30年以上にわたって、中央銀行のエコノミストや経済学者による多くの研究蓄積があります。実は、日銀の植田和男総裁も、いまから20年前の2003年にこのトピックで講演を行っています(Ueda (2003))。
すなわち、中央銀行の赤字や債務超過は予想外の出来事ではありません。中央銀行や経済学者はこうしたことが起きることを予見し、事前にメディアや一般向けに情報提供を行っています(→たとえば、Bonis, Fiesthumel and Noonan (2018), English and Kohn (2022), Nordström and Vredin (2022))。
もちろん、
1.中央銀行の債務超過には先例がある:「オーストラリア中銀もそう」
2.中央銀行の債務超過は会計基準や剰余金の分配ルールしだいである:「利益を送金していなければ債務超過ではなかった」
3.中央銀行の債務超過については学術的蓄積がある:「勉強にもアナウンスにも積極的である」
といっても、主要な中央銀行が次々と赤字や債務超過に陥る状況を、金融市場がどう受けとめるかはわかりません。
ですから、現実に起きてしまった赤字や債務超過の状況をどう解決できるのかを考え、あるいはFRBは実際にどう解決しようとしているのかを知っておくことは重要に思えます。
重見 吉徳
フィデリティ・インスティテュート
首席研究員/マクロストラテジスト
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