「製造原価100円」のモノを「70円」で外注したら「コスト削減」…はウソ!実は「コスト増」で損するワケ【専門家が警告】

「製造原価100円」のモノを「70円」で外注したら「コスト削減」…はウソ!実は「コスト増」で損するワケ【専門家が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者・ビジネスマンにとって「会社の数字を意識して動けるか」は非常に重要ですが、それは「決算書類を読める」こととはまったく違います。本記事では、「会計」と「IT」に精通し、会社の利益の最大化という見地からの「会社の数字」の読み方の専門家である金子智朗氏が、著書『管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング』(PHP研究所)から、「会社の数字」の合理的な読み方を解説します。

「直接費」と「変動費」の違いとは

変動費と対になるのは固定費です。

 

変動費と固定費は、何かの変化に対して変化するかしないかで分類された費用概念です。

 

「何かの変化」は、何の断りもない場合は売上高とするのが一般的です。

 

ですから、一般的には、売上高の変化に対して変化する費用が変動費、変化しないのが固定費と言えます。

 

それに対して、直接費と対になるのは間接費です。

 

直接費と間接費は、費用の集計対象に対する因果関係を直接的に把握できるかできないかで分類された費用概念です。

 

たとえば、多くの材料は、ある製品を製造するのにどれだけ消費するかが明確ですから、材料費は製品という費用の集計対象に対して因果関係を直接把握できます。

 

ですから、材料費は一般的に直接費です。

 

それに対して、工場の建物に掛けられている火災保険料などは、その工場で製造されている各製品に対してどういう因果関係にあるのか、誰にも分かりません。

 

このような費用を間接費と言います。製造間接費は、製造で発生するいろいろな間接費の合計です。間接費は、費用の集計対象に対して因果関係がよく分からないので、配賦という手続きによって集計対象に計上します。

 

「固定費だから配賦する」と言う人がいますが、この言い方は正しくありません。ただ、直接費の多くは変動費であり、間接費の多くは固定費なので、変動費・固定費と直接費・間接費の区別については、そんなに神経質にならなくてもいいかもしれません。

 

とはいえ、似ているということは、違いがあるということでもあります。

 

重要な違いがあるものの一つが直接労務費です。

 

ある製品の製造だけを行っている人の労務費は、その製品に対して明確に紐付(ひもづ)けることができるので、直接費です。

 

しかし、固定費であって変動費ではありません。

 

直接労務費は、時間当たり賃率×作業時間のように計算されることが多いので、なおさら、作業時間が変化すれば労務費が変動するように思いがちです。

 

そのような計算は、便宜上、そのようにしているだけです。その人の労務費自体は、その人が会社にいる限り、働こうか働くまいが発生し続ける固定費です。

 

 

金子 智朗

ブライトワイズコンサルティング合同会社

代表

 

管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング

管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング

金子 智朗

PHP研究所

その仕事は外注すべきか、値下げすべきか、この事業から撤退すべきか。 合理的、戦略的に判断をくだす「数字で考える」トレーニング

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